『ほんタメ』で紹介され読んだ。
長江俊和の作品は初めて。
短編集は物足りなく感じてあまり好きではないのだが、最初の『原罪SHOW』は面白かった。読み手を欺く仕掛け、肌が泡立つ恐怖。たったの50ページでこの面白さ。
読んでいる順が時系列だと思っていたので、最後に『彼女』が出てくるまでこの話の仕掛けに気づかなかった。やられた。
でもこの『彼女』もこのあと築地の男性ディレクターと同じ運命になるのだろうから、ゾッとする。
どなたかのネタバレ感想で
Ki→起
Ten→転
K2→結
Show→承
を表していて、起承転結の順で事件が起こっていると書いてあった。分からなかったなあ。この話だけなら星5くらいある。好みの話。
残りの話全て読了したあとの感想は『原罪SHOW』以外は今ひとつだったかも。どの話も読者を騙そうとする仕掛けはあるんだけど、なぜかやられた感がない。「仕掛けはあった。で?」って思ってしまう。なんでだろ。
特に表題の『掲載禁止』はどんでん返しって多ければいいわけじゃないと思った。結局直子と尚子が品格会の人間だったわけだけど、なんでこんなことするのかもよくわからないし、仕掛けた結末が面白くなかった。アイデアはいいんだけど、仕掛けを生かしきれてない物語展開というか、小説としては今ひとつな感じ。
『斯くして、完全犯罪は遂行された』は割と面白かったかな。ただ、希和子はワタルに洗脳され、ワタルは紫音に洗脳されてる洗脳入れ子状態なんだけど、そんなに簡単に行くものかねえって思った。洗脳の様子が説得力を持って描かれていれば、もっと恐怖を感じて物語に深みが出たかも。
- 感想投稿日 : 2024年4月22日
- 読了日 : 2024年5月6日
- 本棚登録日 : 2024年4月22日
みんなの感想をみる