ジェノサイド 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2013年12月25日発売)
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感想 : 643
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 下巻では、コンゴ(アフリカ)、日本、アメリカを軸に展開が加速し、そのスケールの大きさや躍動感が増す、秀逸の超弩級エンタメ小説と言えます。

○ピグミー族の驚くべき知能をもった3歳児は、超人類として人類を支配するのか、それとも人類が抱える諸問題の救世主なのか? 共存か排除か?
○人類は、国家間・民族・宗教対立など、どこまで戦争殺戮を繰り返すのか?
○イエーガーの部隊はコンゴを脱出できるのか?
○研人は、不治の病の特効薬を完成できるのか?

 これらの関係が徐々に濃密に増幅し、スピード感を含め伏線に伏線を張った展開に、ハラハラドキドキ感は上巻以上です。実に面白く読み切りました。
 文庫上・下巻計800ページは、無駄のない充実した読書タイムにつながり、読了後に満足感・充実感に浸っていました。

 人間の、残忍・醜悪な側面と慈悲深さ・崇高な側面を考えてしまいました。本来、多面的な要素を持ち合わせている人間だからこそ、読み手は心を揺さぶられます。また、科学技術の進歩に伴って、生き方としての「不易と流行」も考えるよい機会となりました。
 「ハイズマン・レポート #5 人類の進化」は、私たちへの警鐘でしょうか?
 未読の方がいらっしゃいましたら、超おすすめです!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月1日
読了日 : 2023年4月1日
本棚登録日 : 2023年4月1日

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