GW何処か行ったぁ?(行けてませんが、それが何か?)せめて気分だけでもと、本書を手にしました。
1986年に『深夜特急 第1便』として刊行。第3便まであり、文庫としては6冊の分冊化で出版、本書は第1便の前半部分とのことです。
本書刊行後、若者が低予算で予定を立てずに自分探しの旅に出るという、いわゆるバックパッカー間でバイブル的な書となり、 80〜90年代の個人旅行流行の一翼を担ったとか‥もはや伝説ですね。
ネットもスマホもない時代に、よくもまぁこんな行動を‥というか、こんな時代ならではの〝熱量〟がひしひしと伝わってきます。下手に描けば全く不毛な表現になるのでしょうが、沢木さんの筆致は真逆で、街の息吹や人の生き様の濃密さに痺れます。
現代だと、スマホ一つで交通手段から宿泊先手配、決済までスマートにできるので、こんな無謀な旅はなくなりつつあるのかもしれません。便利さの陰の味気なさを少し感じてしまいます。
それにしても、デリーからロンドンへの紀行なのに、まさかのその手前の香港・マカオ止まりの本書‥。この先、どう展開するのでしょうか?
異文化でほぼ頼る人のいない状況下に身を置き、自分で考え、判断し、実行に移し、困難を乗り越えていく経験は、きっと貴重な財産となり、将来何らかの役に立つ場面が訪れるのでしょうね。
歳を重ね守りに入るともうダメです。新たな挑戦意欲が徐々にしぼみ、言い訳ばかりで若かりし日を懐古するだけのお荷物(私です)では、やり直しは効きません。
そーなんです! 本レビューを読んでくださっている若い皆さん! 立ち回りの上手い、要領だけ良いような大人にならずに、頑張って茨の道を進んでください。そして周囲に愛を!(何なの、アンタ!)
「ほら来たよ、年配者の説教‥。
小さな親切大きなお世話!」
徒然なるままの独り言でした。
- 感想投稿日 : 2023年5月3日
- 読了日 : 2023年5月3日
- 本棚登録日 : 2023年5月3日
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