ギャングシリーズ第1作で、殺し屋シリーズが始まる前年、ちょうど20年前の作品です。
主役は4人の銀行強盗団、ギャングです。でも「陽気な」って付く通り、一風変わった能力をもつ4人でした。伊坂さん、強盗好きですね。彼らは、「なるべく人を傷つけない」主義のもと、鮮やかに颯爽と連携して強盗をします。そのキャラクター・手口がとても魅力的です。
暴力的犯罪活動もなく、金銭的利益を得ようとはしますが、反社会的集団、強固な組織や闘争性といった印象がほぼ感じられません。そのダサかっこよさの同居が伊坂流ギャングなんですね。
これに、ユーモアがあって軽快な会話の妙、スリルとスピード感ある先が読めない展開、次々と新たな事件に巻き込まれながら、伏線が見事に回収されていく爽快感など、伊坂ワールドの源流を感じさせてくれます。
ハイセンス伊坂節の一例は「割り算」の話。ゼロで割られない理由を、「ギャングの分け前計算に使うから、盗んだ金を誰も手に入れられないと、世の中が狂ってしまう」という理屈に脱帽!
他にも過去の偉人の名言に、ギャングたちの名言が沢山重なり、とっても良い味を出しています。
また楽しい読書ができました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年11月30日
- 読了日 : 2023年11月30日
- 本棚登録日 : 2023年11月30日
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