真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1970年7月17日発売)
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本棚登録 : 1243
感想 : 87
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伊豆の海岸で2人の子供を失った女性(朝子)の物語です。

彼女が味わった理不尽な悲劇が、時の経過によって忘れかけている際、彼女がその忘却に対して葛藤している場面で描かれている
『…人間を狂気に陥れて、死なせるのには、どれだけの大事件が必要なのか?それとも狂気は特殊の天分に属し、人間は本質的に決して狂気に陥らないのか?
我らを狂気から救うのもは何ものなのか?生命力なのか?エゴイズムなのか?狡さなのか?人間の感受性の限界なのか?…』
の流れと勢いには、朝子に感情移入している反面、高揚する感情も押し寄せてきて表現し難い複雑な心境になりました。


数段に分かれて累積している雲の上段の部分を表す表現『箒で掃いたあとのような軽やかな雲』はとても綺麗でお気に入りです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年11月19日
読了日 : 2017年11月19日
本棚登録日 : 2017年10月14日

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