真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)

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著者 : 三島由紀夫
  • 新潮社 (1970年7月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050188

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真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 自選の短編集 ベタな設定だけどきれいな物語のもの ものがたりに興味津津な最近の私にはとても楽しくて素晴らしかった きちんとオチ、っていうものが多いんだけど結末はっきり理解できないのいくつか 由紀夫ちゃんは短編がいいのね 三島の特徴の整然とした構成の美しさっていうのがよくわかる

  • 一番印象的だったのが葡萄パンかな。まさか三島の作品で「ナオン」だの「ハクいスケ」だの「ルービ」だのといった梅宮辰夫が使いそうなセリフが出てくるとはw三島の解説にもあったけど,こういった若者文化はすぐに陳腐化するし,若者もあっという間にオッサンオバサンになり,その若者もすぐにオッサンオバサンになり,永遠の再生産サイクルを見たような。

  • 読まず嫌いだった三島由紀夫。やはり私には若干合わない。

  • 戦時中~戦後を舞台にした短編が収録された一冊。
    筆者の変質的な愛情や性癖を感じる話は少ないが、比喩の上手さを感じる場面が恐ろしく多い。
    表題の「真夏の死」は身近な人間の死に関するエゴ、悲しみ、責任の念がブレンドされた人間の苦悩が伝わってくる。

  • 表題作「真夏の死」のように、ある大きな悲劇が偶然に起こったとき、私たちはそれに意味付けをしようとする。例えばどうして私の兄弟は戦争で死ななければならなかったのかという問いに対して、それはたまたまその時代に生まれたからという解答をすることを私たちは拒むだろう。この作品で言えば朝子が「あのような大きな怖ろしい事件に出会うだけの資格が自分たち夫婦に在ったかどうか」を疑い、「一度たりと人間的な事件の相貌を帯びなかったのではないか」と思うようなことを私たちはするのである。
    悲劇が天命であると思い、仕方がなかったと諦めることはとても残酷なことである。なぜならそれは「自分の涙と悲嘆のすべてが徒労にすぎないという別の恐怖」を味わうことであり「通念のために、二人の子と一人の老嬢を犠牲に供した」ということを暗に認めることになるからだ。
    こんな恐ろしいことが他にあるだろうか?
    そしてそれだけではなく「あれほどの不幸に遭いながら、気違いにならない」ことや「思い出の習慣もいつのまにか失われ、命日の読経や墓参の時に涙の流れないのがふしぎとも思われなく」なることも同じように残酷なことである。
    しかし人は忘れていく。朝子が恐怖に慄きながら次第に忘れていったように私たちは悲劇を忘れていってしまう。そしてどれだけの不幸に陥っても自己の存在に対してその不幸が襲いかからない限り不幸の当事者であったことすら疑わしくなってしまう。もしかすると自己の存在に対して起こった不幸であっても当事者であることを忘れてしまうのかもしれない。

    『真夏の死 -自選短編集』が世に出たのは発行年を見てもわかるように三島由紀夫が自決する数ヶ月前のことである。となるとこの自選短編集に選ばれた作品には三島にとって何らかの意味があると考えるのは不思議なことではない。では三島は「真夏の死」をどんな思いがあって選んだのだろうか?僕はそれは日本にとっての大きな悲劇を日本人が忘れていってしまっていたことへの恐怖感だったのではないかと思う。25年という月日は短いようで長い。悲劇を忘れるには十分過ぎる時間だ。変わりゆく街並みと忙しい日々、そして異常なほどに素早い復興と成長とともに歩んだ25年ならなおさらだろう。そしてその恐怖感が朝子が次の宿命の到来を期待するように三島に宿命を期待させていたのではないか。

    悲劇を忘れていってしまう人間の心理と悲劇の無意味という残酷な事実を描いた名作。

  • これまだ登録してなかったのか。夏ごろに読みました~意外と面白かった!翼、サーカスがけっこう好きだったかも。

  • 【本の内容】
    著者自選による第二短編集。

    伊豆今井浜で実際に起った水死事故を下敷きに、苛酷な宿命とそれを克服した後にやってくる虚しさの意味を作品化した『真夏の死』をはじめ、文壇へのデビュー作ともいうべき『煙草』、レスビアニズム小説の先駆的な作品『春子』、戦後の少年少女の風俗に取材した作品等、短編小説の方法論と技術的実験に充ちた11編を、著者自身の解説を付して収める。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    「雨降る夜に」の〈僕〉は彼女にどんな本を貸したのだろう?

    自分なら、せっかく雨の日だけ開館する図書館なのだから、雨をモチーフにした物語がいい。

    長編だと次に会える日が先になってしまうから、すぐに読める短編にしよう。

    ふと三島由紀夫の自薦短編集『真夏の死』(新潮社)に目がとまる。

    最後におさめられた「雨のなかの噴水」。

    恋愛小説にしてはシニカルだが、本好きの彼女なら面白がってくれるかもしれない。

    少年は重たい砂袋のような、この泣きやまない少女を引きずって、雨のなかを歩くのにくたびれた。

    という一文で始まる。

    少年の名は明男。実に傲慢でいやな男だ。

    女に別れよう!というセリフを放ってみたい。

    そのためだけに、少女――雅子を愛したふりをして、口説き、一緒に寝ることまでするのだから。

    明男は丸ビルの喫茶店で念願の一言をいい、涙を流す雅子をじっと眺めている自分の心の薄荷のような涼しさにうっとりする。

    ところが雅子が泣きやまないので、明男は泣き袋(雅子のことだ!)の捨て場所を探して公園の噴水に向かう。

    一見、女の子にすすめる小説じゃないような感じだが、ラストシーンで明男がぎゃふんといわされるので痛快だ。

    天から降る雨と、下から突き上げてくる噴水の対比も見事。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 著者自選の短編集。表題の「真夏の死」は圧倒的な迫力で描かれている。いきなり場面は、義妹と二人の子どもの死。そのときの母親の思い、その後の心の移り変わり。きっとそんな思いに駆られることがあるのだろう、と何度も思った。子守をしていて、その子を他人にあずけて消えてしまう少女。不可思議な終わり方をする「離宮の松」。私がいたって個人的に興味をそそられたのは「クロスワード・パズル」。その単語は結局本文に現れなかったように思うが、何を暗示しているのか。ホテルマンが担当の部屋を片付ける。女性の残り香をかき、長い髪の毛をすくい取る。なんとも淫靡な心情描写。そういうことはあるのかもしれない。人間だから、男だから。子どものころ、産婦人科医はみなエッチなんだよな、と思っていた。いちいち毎回興奮していられないだろう、という反論もごもっともだ。けれどもやっぱり、今日の女性の・・・は・・・なんてこと、考えてないとも限らない。まあ、心の中の少しの楽しみなら許されるのかもしれない。しかし、ホテルマンのことはこんなふうに考えたことはなかった。次に泊まるときは、逆に変に意識してしまうかもしれない。ふふふ。

  • 今月の猫町課題図書、三島由紀夫の自選短編集。三島なんて、高校時代に潮騒、金閣寺あたりを読んで以来。

    表題作の「真夏の死」はなかなか面白く、確かに小説としての妙味があった。また、著者本人による作品の解説(暗示から破局までを逆順にした)も非常に興味深いものがある。しかし、著者が「短編の妙味を数理的に醸し出そうとした」と言われる2編をはじめとする数編は、いかにもとって付けたような不自然さを拭えず小説になっていないという印象で、全体的には凡庸な短編集だった。好みの順で言えば上述の「真夏の死」、官能主義に徹っしたと言われる「春子」、少年の感情が自分の手の内で転がるようなコミカルな短編「雨のなかの噴水」か。

  • 呑気とも思えるふわふわ感。そこから現実的で恐ろしい世界に落とす。
    後に残る余韻をどう処理するか。

  • 私は、真夏に死の匂いをいつも感じる。
    この作品を読む度、走り水の景色が頭に浮かぶ。

  • 三島由紀夫が1970年に発表した自選短篇集の第2弾。彼の自決の数カ月前に書かれた解説と真夏の死(1952)、煙草(1946)、春子(1947)、サーカス(1948)、翼(1951)、離宮の松(1951)、クロスワードパズル(1952)、花火(1953)、貴顕(1957)、葡萄パン(1963)、雨のなかの噴水(1963)の11編を収録。どの作品も表現が美しく、取り扱っているテーマが"死"や"エロティシズム"であっても品位が損なわれることがありません。好きなのは"翼"、"真夏の日"、"雨のなかの噴水"です。

  • 表題作「真夏の死」は海難事故で子どもを亡くした夫婦の話だ。
    本の最後に著者自身による解説があります。
    それによると  - 主人公・朝子が、全く理不尽な悲劇からいかなる衝撃を受け、しかも徐々たる時の経過の恵みによっていかにこれから癒え、癒えきったのちのおそるべき空虚から、いかにしてふたたび宿命の到来を要請するか、というのが一遍の主題である。ある苛酷な怖ろしい宿命を、永い時間をかけて、ようやく日常生活のこまかい網目の中へ融解し去ることに成功したとき、人間は再び宿命に飢えはじめる。 - とある。

    どういうことか。
    主人公・朝子は水の事故で子どもを失う。その悲しみがいずれ癒える。(まさに時の経過によって傷が癒える)
    すると、この悲劇は必然性が見出せず偶然の出来事になってしまう。(これが空虚を生む)自分の子どもが死んだ理由が‘たまたまだ’ということに親は耐えられるでしょうか?
    だから悲劇の必然性を見出そうと必死に悲しみに意味付けを行い物語化をしていきます。さらに朝子は物語化によってこの悲しみは宿命だと解釈する。さらに新たなにお腹に宿した子は別の必然性を待つために準備と考える。(ふたたび宿命の到来を要請する)ということです。

    人間には悲しみや苦しみに意味付けをして合理化しようとする心理がある。
    いまある苦しみや悲しみに意味があるように解釈する。ひょっとしたらこれは天が与えた試練かもしれない。悲しみを乗り越えるのがわたしの使命だ。そして苦しみの後には必ず喜びがやってくる、という因果律で経験を物語化していく。世界宗教が生まれる因子もここにある。

    短篇ですが三島らしい緻密な構成と文章で非常によく出来た作品。

  • 三島由紀夫の自選短編集。三島由紀夫はこれがいいと勧められたので購入。表題作「真夏の死」が素晴らしい。実際の事件を元にして書かれた小説らしい。お気に入りは「サーカス」刹那的。退廃的美しさ。2013/419

  • 三島の自選短編集。主義主張が前面に出ていない三島は相当に好き。中でも『真夏の死』はマイベストオブゆきお。人間の感情の描写が絶品。シニックで寓話的な『サーカス』みたいな小品もよい。

  • 著者の自選になる第1短編集『花ざかりの森』は、そこに収められた作品群が、いずれも情緒的あるいは情念的であり、小説を読む快楽を味わえた。一方こちらの第2短篇集は、多分に観念的であり、小説を読む楽しみにしても知的な側面を多く持つことになる。巻末にある著者の自註でも、それぞれの作品に対する固有の方法意識が語られており、いずれもその限りでは実験的なものであったようだ。アフォリズム風のうまさは随所に感じられるが、小説世界への投入感はいくぶん弱くならざるを得ない。篇中ではやはり表題作「真夏の死」が白眉か。

  • 三島由紀夫を気にするきっかけとなった本。「翼」という収録作が高校生の自分には割と衝撃的で、映像情報ばかり享受している自分ら世代に比べ、アナログだった先人達の妄想力の凄さを見せつけられる作品だなーと。貞操感とかそういったものが強い方々には支持される一方で、今のフランクな若者達には気持ち悪いで済まされそうな、少し時代錯誤な作品でした。こうした三島由紀夫、安部公房、坂口安吾の世代の作品は先人達の考えの深さをかいま見られて本当に好きです。読み物としては重い物が多いですが、頑張ります。

  • ”ボーイズラブ”の真逆のものとして、キレイな女の子と可愛い女の子がキャッキャウフフする”百合小説”なるジャンルがあるが、私の知る限り、その最強の作品が本作に収録されている『春子』である。三島由紀夫、おそるべし。

  • 文章の美しさ…
    こういう言葉が出てくる作家はごく少数です。
    古い本でも難なく読め
    そのレベルの高さには
    ただただ感服するばかり…

    表題作は子どもをなくした親の
    悲しい心理をリアルに表現しています。
    どんなに月日が経とうが
    子どもができようが、その傷は消えようがないのです。
    それが、最後に結集されているように思えます。

    それと定評の恋愛に関しての作品も秀逸。
    どの作品も、高品質です。

  • 短編集。特に春子がお気に入り。愛し合っている姉妹が、互いに一人の男性と関係を持たせようとする話。とても官能的。

  • バラエティ色豊かな短編集。最初期〜中期にわたる作品がバランスよく配置されている。

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