機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(上) 機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ (角川スニーカー文庫)
- KADOKAWA (2014年1月1日発売)
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人間だから、こうなってしまうのか。組織が出来上がるから、こうなってしまうのか。人間だから、組織が出来て、組織があるから、こうなってしまうのか。きっと、どれもが間違っていなくて、それぞれが必要条件なのだけれど、決して十分条件にはなれないものたちなんだ。だからこそ、社会というものは閉塞していく。居た堪れなくなって、止むに負えずに、壊してしまえと、失くしてしまえと、更地にしてしまって、正しく映るような答えをそれから展開していけばいいと、革新という手段の誘惑に飲み込まれてしまうのが、人類という生き物なんだと、ガンダムは描く。
人が作り出していく、固く強大で傍若無人なシステムに、ただ対抗するために、テロリズムが表れる。ほかに方法が見当たらないのだから、仕方がないじゃないか、とそれを手にとった途端に、自らが土台にしていたものを破棄することになるという矛盾が待ち構えているのも構わずに、それしか選択肢をなくしていくことも、それすらも人間の齎すシステムであるかのように、捉えることができるのだ。
シャアの反乱が結局、種を蒔いて、次を育てた。ハサウェイが手に入れていった正しさがまた、その行き場を求めて、発現することを希求するようになる。人というシステムが作動する限りに続く、新たな戦いが展開されるということでしかない。終わりを迎えるために、僕たちは前に進むのだけれど、決してその進んでいく先には終わりなんかないことを、僕たちはすでに知ってしまっているんだ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年12月3日
- 読了日 : 2021年11月21日
- 本棚登録日 : 2021年12月3日
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