前作の最後で幼馴染の由紀乃さんが遠くへ行ってしまい、どうなるのかと思っていたら、
時が巻き戻っていた。
四季折々の話が一つの方向に向かって流れ込むという展開は好きだが、
彫刻家との縁はちょっと唐突かな。
知り合った時も共通点なしの偶然だし、
30年ぶりのこれまた偶然の再会で、
面倒事を頼む方も頼む方だし、受ける方も受ける方だし。
最後の話の親子の確執の決着も、ちょっと安っぽい。
ところどころに心を刺すようなガラスの破片が埋め込まれている良さがあるのに、
切れ味が今一つ鋭くなくて、傷口がじくじく痛むような感じがする。
人の心の綾に痛みを感じさせられるところは、
宮部みゆきにも似ているが、
その痛さがスパッとしていて、
ある意味気持ちがいいのとは大違い。
自分の店にありきたりなものを置きたくないと納品を断った潔さがありながら、
過去の自分を責め続け、囚われ続ける主人公のもがきが
その根源なのだろうか。
それとも、人とはそういう矛盾した存在であるということを、受け入れられない私の未熟さのせいか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2015年2月19日
- 読了日 : 2015年2月17日
- 本棚登録日 : 2015年2月17日
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