読書力 (岩波新書 新赤版 801)

著者 :
  • 岩波書店 (2002年9月20日発売)
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本棚登録 : 5791
感想 : 800
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 岩波新書のおすすめコーナーにあり、以前からよく見かける筆者だったので読んでみた。

 本書の感想を結論から言えば、読まなければよかったと思った。現時点でこの筆者の本はもう読むつもりはない。なぜ筆者の本が平積みされるほど売れているのかも疑問だ。目新しいことも特になく、「序」において筆者の愚痴のような読書論が語られるが、啓蒙的で本当にイライラし同意できなかったことが主な理由だ。

 古典的な名作などは手放しで賞賛し、読めばレベルが上がるなどと主張する一方で、推理小説やSFなどを小馬鹿にしている。そうやってSFを乳歯の読書とバカににしておきながら最後の100選でオーウェルの『1984年』を選出するのは滑稽で仕方ないし、許せなかった。星新一が小学生でも読めるから読書力が上がらないといったくだりも同様に思った。

 上記をはじめとし、筆者は読者について大層なことを偉そうに語る。それにもかかわらず、読書力の基準として、いわゆる「文学」の文庫本100冊、新書50冊を読むことを提示してきたことには落胆した。大層なことを書く割に根拠が弱く偉そうに語ることかと思った。

 これ以上批判をするのもファンから怒られそうだしやめておく。ただ、自分と異なる主張を読むことができたのは良い読書体験だったと思う。

 


 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年7月19日
読了日 : 2023年7月15日
本棚登録日 : 2023年7月15日

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