あるキング

著者 :
  • 徳間書店 (2009年8月26日発売)
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感想 : 1011
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やっと!!初伊坂です。
私より少し年下の年代に、すごく人気のある作家。
東野さんなんかよりずっと人気あるだろうに、直木賞は未だ。

とにかく乾いた印象。感情移入を拒むかのような。
かと言って磯崎さんのように、不親切ではない。
この辺が若い人に受ける理由の一端でしょうか。

よくある風景の中の、おとぎばなし。
よくあるというのは、日本人にはお馴染みの「プロ野球」が舞台の作品だから。
でも、おとぎばなし。・・・それもなんとシェイクスピア。

実を言うとシェイクスピアを読んだのは10代の頃なので、
既に、かなりいろいろな物語が頭の中でごっちゃになっているのだが
人物の役割や、せりふ回しから、ああ、とわかる。
日本人の日常であるプロ野球の中にあって、かけ離れた世界を描いているんですね。
その余裕の文章、テクニック。
この作者の、物語作家、小説家としての力量を感じました。

作者自身が、自分らしくない作品になりました、と書いているので
私はもっと彼の作品を読まねばならない、と思ってます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年4月29日
読了日 : 2009年12月28日
本棚登録日 : 2013年4月29日

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