箱根駅伝をテーマにしたスポーツ青春小説です。
弱小チームが箱根駅伝に挑む、という設定は『風が強く吹いている』など、他の箱根駅伝小説と変わらない構図ですが、主人公となるチームが「弱小大学」ではなく、「学連選抜」であるところが、興味深いと感じます。
「究極の団体競技」である駅伝ですが、やはり個々人の能力(タイム)がすぐれていなければ、そしてまた優れた選手が10名いなければ駅伝に出場することはできません。
予選会に敗れたそれぞれの大学から優秀な選手が選ばれて結成される「学連選抜」が、箱根駅伝優勝を目指して奮闘します。
同じ大学で練習を重ねた仲間でもなく、縁もゆかりもない、いわば「敗者の寄せ集め」である学連選抜に、チームメイトとしての絆が芽ばえることはあるのでしょうか。
クライマックスの第9区と第10区のレースは手に汗握る展開で胸が熱くなりますし、ラストも晴れやかで読後感も爽やかです。
努力が必ずしも結実するとは限りませんが、自分と向き合いながら(陸上という競技の性質上、自分との対話が多くなるのだとは思いますが)、そして自分に嘘をつかずにひたむきに、そして文字通り進み続ける主人公たちの姿には、感動させられるものがありました。
私自身は、駅伝を5時間以上2日間連続で見る根性がないので試合の中継を見たことはありませんが、駅伝ファンの方たちが感動を覚える駅伝の魅力に触れることができたようにも思います。
読書状況:読み終わった
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個人
- 感想投稿日 : 2021年1月5日
- 読了日 : 2021年1月5日
- 本棚登録日 : 2021年1月5日
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