小学生高学年から中学生向けのファンタジー作品です。
イメージ的には、革命直前のフランス・パリのような街並みを舞台としているのでしょうか。貧富の差や政争、貧しくもたくましく生きる少年たち、そして黒魔術と白魔術の戦いなど、大人の物語への架け橋として、良い出来の作品だと思います。

本巻だけでも楽しめますが、シリーズ本とのことで、続刊も手に取ってみようかと思います。

2024年5月18日

読書状況 読み終わった [2024年5月18日]

作中でも語られる通り、創作は現実ではありませんし、フィクションの物語も実際の人間の過ごす物語(人生)も、その全てがハッピーエンドというわけでもありません。

地球を離れて、恒星間植民船に乗り込んだ主人公は、コールドスリープの間に目的地に着くはずでしたが、目覚めた時には両親もおらず、周りの仲間も地球での記憶を消されていました。そして、「それぞれの違いが争いを生んだ原因で、全員が感情や私欲を捨てることが理想」とする「コレクティブ」という集団が船を牛耳っていたのです。
一人ひとりの人生を無視するコレクティブのやり方に反発する主人公のペトラは、おばあちゃんから教わった物語を「語り部」として語ることで、家族と仲間を守ろうと奮闘します。

難しい状況に置かれたときにこそ発揮される、物語の力を感じさせてくれる小説でした。
結末はやや無理やりに「救い」をもたらしたような気もしますし、中盤には読み進めるのがしんどい所とありましたが、読後感は悪くありませんでした。
とはいえ中々に歯応えのある読書経験でしたので、軽い読み口の本が読みたい、という時にはオススメしにくい作品でもあります。

2024年5月17日

読書状況 読み終わった [2024年5月17日]

男子校出身者で、いまも男子校の教員として、人生のほぼ半分を男子校で過ごしている身としては、「まあ、そうだよね」という感想が大半です。

自分の中高時代を思い出して懐かしい気持ちになります。

一方で、いまの勤務校はこの漫画で描かれているような(あるいは自分が現役生の時に経験してきたような)「笑い」や「おいしさ」に重きを置くような価値観が少ない印象もあり、もう少し落ち着いているようなイメージもあります。
「男子校らしいノリ」というものに正解があるわけではありませんし、日々を過ごす生徒たちが彼らなりの充実した学校生活を送ってくれているのであれば言うことはないのですが、はたから見ていて一抹の寂しさを感じるのもまた事実です。

2024年5月16日

読書状況 読み終わった [2024年5月16日]
カテゴリ 仕事

『ペリリュー』もそうでしたが、絵が暖かく写実的ではないからこそ伝わる「恐ろしさ」があるように感じます。

いろいろな本で読んで、「特攻」がどういうものか知っているつもりでいたのですが、視点がかわるとなお一層辛さが増します。

特攻隊として出撃した兵士たちだけでなく、彼らを見送るしかできない周囲の人々の苦悩もまた、戦争の「悲劇」の一つです。
全4巻でコンパクトにまとまっているようなので、続刊も読んでみたいと思います。

2024年5月11日

中学生・高校生・大学生のビブリオバトル大会でチャンプ本となった話題作で、気になっていました。

少女が惨殺された事件、その犯人は16歳の少年でした。少年法により守られていた犯人の実名が週刊誌で公開されたことで、状況が大きく変わります。社会的に大きな反響を呼んだ事件の犯人と同姓同名であるがゆえに、様々な悪影響を受けた同姓同名の「大山正紀」たち。

SNSで誤認されて吊し上げられたり、就職や推薦がご破算になったり、学校でいじめられたり……。

SNSだけでなく、実際の社会でも「正義」の名のもとに他者を批判・非難することがありますし、その方法が過激化して周囲に被害をもたらすことも少なくありません。登場人物が語るように、言葉の力を軽視している、たまたま言われた相手が自殺していないから「人殺し」にならなくて済んでいるだけだ、という指摘は的外れではないように思います。


作者の訴えたいメッセージがしっかりと伝わってくる作品ではありますが、やはり登場人物の大半が同姓同名ですので、(混同されないように気を配ってかき分けられているとはいえ)注意深く読まないと状況を把握できずに混乱することもあり、決して「読みやすい」という本ではありませんでした。
普段はあまり思わないのですが、映像化したほうが分かりやすくて楽しめるかも、という印象を持ちました。

2024年5月11日

想像以上にCGのできが良かったと思います。
犯人が「悪役」とわかった時の変貌ぶりには(見た目の変化も含めて)ちょっと引きましたが、服部平次の活躍回をしっかり楽しめました。

2024年5月10日

読書状況 観終わった [2024年5月10日]
カテゴリ 個人

ディズニーアニメや映画、ミュージカルなどで広く知られる「美女と野獣」の原作として、前にボーモン版の短編をよみましたが、こちらの方が「元祖」であるようで、ボーモン版は本作を「子供向けに要約したもの」だということが分かりました。

なるほど、大きなあらすじに変化はありませんが、本書の方がディテールまでこだわって作られていることが良くわかります。ベルの内面的な美徳や、ベット(野獣)の特性についてなど、設定が良く考えられていて作品世界の「厚み」を感じる一方で、登場人物(種族)の「妖精」の存在が物語を複雑にしているように思いました。
キリスト教圏ならではなのでしょうか、王権と妖精(と、妖精の世界における要請同士の力関係や秩序)が複雑に絡み合っているため、またその説明が一人の妖精のセリフで語られているために状況を理解しづらく、ラストの長台詞部分は一部読み飛ばしてしまいました。

わかりやすく、楽しめるようにアレンジされたアニメ版やミュージカル版などから作品に触れることをお勧めしますが、さらに興味を持った人には「原作」として本書も紹介したいと思います。

2024年5月8日

生徒がビブリオバトルで紹介したいという本で、発表に先んじて読んでみましたが、私には面白さが上手く理解できませんでした。

表題作の「犬婿入り」も、併録されている「ペルソナ」も、主人公が「何を考えているのか」は描かれていても、それがどういうことなのか(=何を表現しようとしているのか)がうまくつかみ切れず、ストーリーが目を滑って行ってしまったように思います。

いずれの作品も1992年に発表された作品ですから、描かれている時代風景が現代社会とは合わなくなってきた(=読者が共感しづらくなってきた)ということもあるのかもしれません。

2024年5月7日

読書状況 読み終わった [2024年5月7日]
カテゴリ 仕事

神奈川近代文学館の新しい館長となった方の著作として、学校図書館で所蔵していたものを手に取りました。

大人の女性の心情の揺らぎ、というものを細やかに描き出している作品なのかもしれませんが、個人的には「何が言いたいのかよくわからない」という部分も少なくなく、途中で本を置いてしまいました。

物語の中で起こる事件が小規模なわりに登場人物は多く、彼らの相関関係も複雑で読みづらい印象がありました。

2024年5月7日

読書状況 読み終わった [2024年5月7日]
カテゴリ 仕事

冒頭の「美女と野獣」の小編だけ、読んでみました。

ディズニーアニメで有名な同名作品の原作にな樽のでしょうが、意地悪な姉がでてきたり、あまりにベルが大らかで清らかな心の持ち主で会ったりと、「ザ・昔話」感が強く、今の時代に読むと少し醒めてしまうところもあるかもしれません。
古典として、教養として目を通しておいて損はないかなと思いますが、エンタメ作品として楽しむのは少し難しいかな、という印象です。

2024年5月7日

シリーズ57作目、大きな変化(新たな「ファミリー」など)はなく、いつも通りのメンバーの活躍を見ることができます。

結婚は歩み寄りだ、というロークとイヴのセリフが身に沁みます。

2024年5月5日

読書状況 読み終わった [2024年5月5日]
カテゴリ 個人

女芸人や芸能人が「容姿」をネタにして笑いを取ったり、「ルックスの良さ」だけが評価されたりするのは違うのではないか、という主張が本巻の伝えたいこと、なのかなと感じます。

それが正しい主張なのかどうか、すぐには判断できませんが、『美醜を、特に「ブス」を笑う行為は品がない』ということがらには同意できます。
「美しさ」を消費される(=自分には容姿以外の価値がないように思わされる/容姿だけで判断される)ということも。当事者にとってはしんどいことなのでしょう。

そうはいっても、人間は美しいものに惹かれる生き物であるような気もしますし、それに対するあこがれは捨てきれない者なのではないかと思います。「反ルッキズム」という主張に感じる「居心地の悪さ」は、美しさへの憧れそのものを否定されるように感じるからかもしれません。

美しいものにあこがれる気持ちは決して悪いものではないと思いますが、自分が「誰誰よりも美しい(はずだ)=その人よりも価値があるはずだ」というような思考回路に陥ると、それぞれが苦しむ社会になってしまうのではないかと思います。
憧れと自分自身を切りはなす冷静さが必要なのかな、と感じます。

2024年5月2日

「ブス」として苦るしめられてきたからこそ、ミスコンで内面をも評価に加えようとする「多様性」に反発します。
「絵が上手い」「スピーチが上手い」などの個性を評価する、と言ったところで、結局は一定以上の容姿をもつ人たちの競争であること、「美しさ」の土俵の上に上がらなければ実力の勝負すらできないという、実際の社会の縮図そのものではないかという主人公の主張は説得力があります。

むしろ「ミスコン」こそ、純粋に用紙の美しさだけで評価して欲しい、という彼女の主張の方が、もう一人の主人公・梨花が導いた答えよりもしっくりきます。

2024年5月2日

同僚の教員が、男子校の生徒にこそ読んで欲しいと推薦してくれた漫画です。

まだ1巻目なので、おおもとの問題提起や登場人物の紹介がメインで、大きな波乱や作者の主張はそれほど伝わってきません。

「反ルッキズム」という考え、どこまで同意できるものなのか、自分の中でも考えがまだまとまっていません。
「あなたらしく」「ありのままに」「他人の評価(特に用紙に関する)を気にせずに」生きる、ということも一つの価値観ですが、一方で「他者から自身の容姿を認められたい」と思う考え方や、そのために(好んで/自己表現の一つの方法として)美容整形等にいそしむ(そしてそれを「幸せだ」と感じている)人もいるでしょうし、そういう人の生き方を認めることもまた「多様性」なのではないかと思うのです。

2024年5月2日

文芸部に所属しているも、創作活動には参加しない、「物語を書くことはできない」という主人公。
廃部の危機にあった文芸部の部員確保のため、友人に誘われて入部した彼女は、毎年発行する部誌にもエッセイもどきを提出してお茶を濁し、創作活動に邁進する部員たちに引け目を感じながらも、それなりに楽しく部活を過ごしていました。

あらたに熱意溢れる新入生が入部したことで、自分の立ち位置やあり方を否応なしに考えさせられるようになった主人公と、彼女をそれとなく支える「妹の元カレ」との関係性はまさに「青春」そのものであるように思います。

手に汗を握るような展開があるわけでもありませんが、高校生のリアルな感情や、「創作活動」を通して自己表現する彼らの姿は読んでいてすがすがしい気持ちになりました。

2024年5月2日

読書状況 読み終わった [2024年5月2日]
カテゴリ 個人

中盤で、バタバタと仲間がゲームオーバーになってゆくところは、もう少し丁寧に描いても…と思いましたが、シャーロキアンのコナン(新一)と優作が必死に、しかし楽しみながら事件に挑んでいる姿が印象的でした。

親の七光りで自分勝手な子どもたちが、互いに助け合いを学ぶ、というメッセージは古き良き子ども向け映画らしい「説教くささ」がありますが、それを補って余りあるエンタテインメントだったと思います。
まだVRなどが普及していない時代にこの場面設定ができたことには先見の明を感じます。

2024年4月24日

読書状況 観終わった [2024年4月24日]
カテゴリ 個人

生徒が「ビブリオバトルで紹介してみたい」と言ってきたので読んでみました。
『悪人』や『横道世之介』で有名な著者が、デビューから数年たったころに書いて芥川賞を受賞した作品です。

文章はきれいで、(こう言っては失礼ですが)芥川賞作品としては読みやすい方だと思います。描かれている情景も、主人公の心情も違和感なく読んでゆくことができます。
ただ、読後感としては「で、だからなに?」という印象が強く、私の中では印象深い読書体験にはなりませんでした。

生徒がどのような紹介を考えているのか、聞いてみるのが楽しみでもあります。

2024年4月22日

読書状況 読み終わった [2024年4月22日]
カテゴリ 仕事

『きけ わだつみのこえ』などに代表される、特攻に出撃した若者の遺書を取り上げた本は少なくありませんが、「残された遺族」についても目を向け、直接会って聞き取りをしている点が本書の特徴だろうと思います。

特攻隊に志願して散華した若者たちが、「国のため」「銃後の家族のため」に命を賭ける覚悟を決めたことについて、
・本当は「死にたくない」という気持ちがあったはずだ
・自主的に「志願」したのではなく断れない雰囲気があったはずだ
・実際に成功する可能性は高くなく「犬死に」だった
などと否定的/懐疑的な意見があることは事実です。

実際、少なくとも前半の2つについては検討の余地はあるとおもいます。どういった力がはたらいて、「戦争を継続する」「犠牲となることを恐れてはいけない」「死ぬことが良いことだ」とされるようになったのか、という点は分析すべき課題です。一方で、特攻を「犬死に」とする批判は的外れだと思います。極端なことを言えば、「戦争」という外交手段そのものが「邪道」なわけで、それによって亡くなった方は、兵士であれ民間人であれ、本来の寿命よりも早く命を落とし、本来(平和であれば)果たせたはずの役割を全うできなかったのですから。

では、この「特攻」から、何を学ぶべきなのでしょうか。
散華した若者が遺した言葉や、彼らの「尊い犠牲」に『感謝』して、その犠牲が価値のあるものとなるように「誇り髙い日本」を作り上げていくことでしょうか。

そうではなく、特攻した者も残された家族も(あるいは特攻として出撃命令を受けつつも生き残った者も)、みな一言では書き表すことのできない悲劇を味わったということではないかと思います。では、悲劇の原因は誰にあるのでしょうか。特攻を立案した(とされる)大西瀧治郎や戦争を主導した東条英機、誤った戦果情報を発表していた大本営、それを無批判に報道した新聞各局、戦死することを「名誉」として称揚し大勢に反対する者を「非国民」と批判・攻撃した国民、全軍の統帥権をもつ天皇……。

私自身は、戦争という悲劇が起こった原因は、「それは違うと思う」と言える環境を作ることができない社会であったこと、にあるのだろうと思います。
もちろん、言論の自由が保障されている現代社会であっても、世間一般の意見と異なる見解は批判されますし、場合によっては「非国民/売国奴」などと攻撃されることもあるでしょう。それでも、「戦争はだめだ」と主張できるようにすること。自分の頭で、どうすべきかを考えること。真剣に人生を歩むこと。
戦争でおこった様々な悲劇(特攻だけでなく、沖縄戦・原爆・インパール作戦・「飢島」・集団自決・空襲……)を風化させることなく語り継ぐことと、その悲劇を繰り返さないために真剣に考えながら人生を歩むことが、「英霊の供養」になるのではないかと思います。

2024年4月20日

読書状況 読み終わった [2024年4月20日]
カテゴリ 仕事

人間が「想像力」を駆使することで他の動物たちを支配し、環境を激変させるようになったことを描いた前作に続き、今回は「格差」がなぜ生まれてきたのかを解説しています。

それは、人間の「スーパーパワー」である想像力と、それによって作り出された「物語」を共同体のメンバーが信じてきたこと、その物語に基づいて農耕を始めたことで「意図せざる結果」が生まれそれによって格差が広がっていったことなど、人類の歴史の根本的な流れが平易な文章で書かれています。

現代社会で、多くの人々が信じている「共通の物語」がどのように広まったのか、その点についての解説は「別の物語」とのことで、次巻も期待したいと思います。

2024年4月17日

私たちが歴史を学ぶ意味を改めて考えさせてくれる一冊です。1人では大した力を持っていない(野生動物と一対一で向かい合えば、たいていの場合は勝つことができないくらいひ弱な)「人間」という生物が、地球を文字通り「支配」し、多くの動物を絶滅に追いやり、地球環境を破壊するほどのパワーを持つことができたのはなぜなのか。
人間だけがもつ、そのパワーの正体と、それがどのように他の生物を圧倒して地球環境を激変させてきたのか、人類の「発展」の歴史(と、それによってもたらされた悲劇)を、小学生高学年くらいから中学生の子どもでも分かるように丁寧に説かれています。

考古学の発見から想像できること、たぶん「確かだろう」とかんがえられること、あり得るけれども本当のところは「わからない」こと、これらをきちんと書きわけているところも、筆者の誠実さを感じます。
筆者を有名にした『サイエンス全史』はまだ読んでいませんが、本書を読んで是非読んでみたいと思うようになりました。

2024年4月14日

飛行機の操縦はそんなに簡単なモノじゃない! というツッコミはさておき、怪盗キッドのイケメンっぷりがたっぷりと発揮された作品でした。

2024年4月13日

読書状況 観終わった [2024年4月13日]
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とても刺激的な作品でした。
一般的な「解説本」とは異なり、物語とそれをふまえた解説が交互に展開されるという構成で、とても読みやすいつくりになっていました。読者の多くが主人公に共感できるような内容ですし、「理想郷だと思って訪れた地が、(夢に見ていた理想的な環境であるにもかかわらず)「悪徳」を感じさせる、違和感のある土地だった」という展開もリアリティがあって読者をハッとさせてくれます。

「発達障害」「自閉症」など、なんとなくわかっているようですが、実際に当事者の一人ひとりが抱えている「悩み」や「困難」を本当に理解・共感することはできないのだろうということも改めて感じさせられました。
現在の社会の中で「マイノリティ」と言われる人たちが(そもそも「マイノリティ」と言われてしまうこと自体が社会のあり様として不適切でもあるわけですが)抱えている困難を解決するために、彼らの特性を理解しようと努めたり、少しでもQOLを改善するためにできる対策を考えたりすることはもちろん重要です。

「こうあるべき」という人間像も流動的なものであり、いま「社会の多数派」とされている考え方や価値観に会うかどうかでその人を値踏みしたり排除したりする、現代の私たちの在り方に対する著者の強いメッセージも感じます。

作中にある「特別支援教育でよく口にされるのは、『生徒のひとりひとりが生きている体験世界をたいせつにする』という方針だ。もちろん、実際にはこれは通常学級の子どもたちにもはじめから配慮されていることで、『健常児』たちもひとりひとりの個性が尊重されるのは当然ではあるのだけれど、知的障害や発達障害があると、その生徒は『正常ではない』とか『劣っている』などと価値づけられる場面が発生しがちだ。それで教育者や支援者は、正常か以上かを基準にし、素朴な物差しで優劣を判断することを慎むために、『ひとりひとりの体験世界』という原則を口にしやすくなる。それぞれの体験世界が重んじられ、環境が調整されれば、社会で力を発揮する人材が増えるということで、結局は社会の生産性の強化をもたらす」という設定は、著者の希望と、現実世界への皮肉が込められているように感じられます。

2024年4月11日

読書状況 読み終わった [2024年4月11日]
カテゴリ 個人

ロークの過去が明らかになり、珍しく動揺を隠せずにイヴをも拒絶する姿は新鮮ですし、そんな中でロークに惜しみない愛情を見せるイヴの姿は感動的でもあります。

ただ、ちょっとトゥルーハートの負傷が続いている印象があり事件的には少し食傷気味です。犯人も悪意や欲望によってではなく、悲劇のあまり正気を失っての犯行ですので、事件が解決しても「スッキリ」という感じではありませんでした。

2024年4月10日

読書状況 読み終わった [2024年4月10日]
カテゴリ 個人

姉妹編(1冊目)と同じく、政治家の国民を小馬鹿にしたような言い逃れ構文を懇切丁寧に解説した本です。

日本語話者であっても「何が言いたいのかさっぱりわからないし、こちらの質問には何も答えていない」と思われるような政治家の答弁は、筆者のような外国人にはさぞかし不思議に思われるのだろうと思います。
単語編と合わせて、中高生に紹介したい本ですし、こういった「政界語」を(ふざけて)日常生活の中で使ってみることで、ホンモノの政治に対する興味を持ってもらえればと思います。

ひとつ疑問に感じたのは、海外の政治家は日本の政治家のように「訳の分からない発言」はしないのかな? ということ。
是非、筆者にその辺のことも書いて欲しいと思います。

2024年4月5日

読書状況 読み終わった [2024年4月5日]
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