向田邦子の遺言 (文春文庫 む 9-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2003年12月5日発売)
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感想 : 17
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向田邦子本人の作品かと思ったら、妹の和子の書いた本であった。

家族に宛てた極めてプライベートな「遺書」を公開している。

そこまでするか?と、釈然としない気持ちを持つのは私だけではないだろう。

その遺書も、正式な遺書ではなく、思いつきのまま走り書きしたような内容なのである。

良いように取れば、向田邦子という人物を知る上での貴重な手がかりとも言えよう。

彼女の思い出を通して、本人の本質が語られる。

その本質で特に気になったのが、思いつきで行動しているように見えて、自分なりに先を読んでいたのだなと感じさせられる。

この妹に対して、赤坂で居酒屋風小料理屋を経営させたのは、ものすごく深い思いやりが背後にあったのだと気付かされる。

いわゆる兄弟愛の強さというものである。

今更ながらだが、惜しい才能を無くしたというより、ホントーに魅力ある女性を亡くしたものである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年5月9日
読了日 : 2012年5月9日
本棚登録日 : 2012年5月9日

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