iPS細胞が見出された背景について非常に基本的なところから丁寧に解説してくれる上、臨床の場での適用例やその研究・実用段階の記述が極めて豊富。聞き慣れない病変名に有名人のエピソードを絡めたり、Wikipediaなどよりずっとシンプルでキャッチーな図表を用いるなど、専門的な分野への読者の親しみやすさを高める配慮を随所に感じる。
幹細胞に様々な種類がある上互いに相補的な関係にあるものも多く、iPS細胞と他の細胞を切り離して扱うことに全く意味がないことが分かったことが本書を読んでの最大の収穫。iPS細胞を取り巻く「今まで」と「これから」が280頁足らずで一望できる手軽さも良。ただ研究者名や専門用語が頻出し、他所での言及箇所を探す手間が煩わしい。索引が無いのが惜しい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
分子生物学
- 感想投稿日 : 2015年8月9日
- 読了日 : 2015年8月9日
- 本棚登録日 : 2015年8月2日
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