死と生きる: 獄中哲学対話

  • 新潮社 (1999年2月20日発売)
3.97
  • (26)
  • (17)
  • (24)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 283
感想 : 23
5

一気に読みきった。
言葉の怒涛と応酬は常軌をあからさまに逸脱している。

哲学者・池田晶子と死刑囚・陸田 真志の手紙のやり取りが書籍になったもの。

拘置所のなかで、哲学的思索を続ける陸田氏。
思索は時に、思索事態の普遍化を誘発し、その延長線上に殺人の許容へ至る場合がある。
なぜなら、死それ自体は不幸ではない、とすることができるから。

池田氏はそれを断罪する。
殺人犯であり死刑囚である陸田にしか書けない思索がある、
たどり着けない真理があると。

人を殺すということはどういうことか、その考えを書けと。
ドストエフスキーのような天才が「罪と罰」で想像で描いた、
その殺人という行為を実行に移した殺人犯・死刑囚にしか書けない、
そこを考えて表現せよと、愛をもって糾弾する。

圧巻の書籍。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想
感想投稿日 : 2010年5月11日
読了日 : 2010年5月8日
本棚登録日 : 2010年5月8日

みんなの感想をみる

コメント 1件

kashikurayoshimiさんのコメント
2011/04/15

書の核心をこれほど端的に凝縮しているのに驚きました。感動の表現もすばらしいです。
僕が「新潮45」での連載を知ったのは、谷中墓地の真ん中にある交番でふと手にした警察広報誌に載っていた池田さん自身の連載紹介記事でした。池田さんの尋常でない決意がその文章の中にありました。

ツイートする