「通訳」という仕事の実態を知りたくて、手にとった一冊。生まれた年から計算したところ、筆者は現在71歳。筆者が通訳になった頃と今とでは時代がかなり違うと思われるが、それでもこの本を読むことができて良かった。
とりわけ興味深く読めたのは次の3つ。
①[l]と[r]の発音の仕方(P70〜)
[l]と[r]を間違えて発音したために、”rice”と”lice”を誤解してしまうという話を聞いたことがあったので、この違いには関心があった。一言で言えば「舌先が上につくorつかない」の違いであるが、本文には当然より具体的に説明されている。
その他、”firstly”を”firstry”と発音しないようにする方法、いわゆる「抑揚」を付けた英文の読み方(”棒読み”では伝わらない)等、英語を話す上で大事なことが書かれている。
②ヨーロッパの旅(P92〜95)
米国務省での16カ月間の仕事後、筆者はドイツ語の集中教育を受けに欧州へ。この話はたった3ページに収まっているが、欧州滞在への興味を掻き立ててくれるのでは…
③「意味の理論」(P151〜)
セレスコヴィッチの有名な通訳理論。通訳時に頭の中で起こっていることを3段階に分けて説明。詳細は本書に譲るとして、印象に残ったのは「通訳者の頭の中に残るのは、発言の内容のみで、用いられた単語・表現は瞬時に消え去る」ということ。これは「個々の単語の置き換え」とは明確に区別される。ここに通訳という仕事の「難しさ」と「醍醐味」が隠れているように感じた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外
- 感想投稿日 : 2013年3月20日
- 読了日 : 2013年3月18日
- 本棚登録日 : 2013年3月18日
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