韓国系のアメリカ企業ではたらくサム(サム・ロックウェル)は妻子を地球へ置いて、月に単身赴任中。たったひとりで採掘の仕事をこなしながら、月面の基地に暮らしている。話し相手は人工知能を持つコンピュータ(声ケヴィン・スペイシー)だけ。だが、そんな孤独な生活ものこすところあと2週間。まもなくかれは3年の任期を終えようとしていた。しかし、そんなある日、サムはじぶんに瓜二つの男と遭遇する。という近未来SF。監督はダンカン・ジョーンズ(デビット・ボウイの息子)あらすじをよんで、ああサムはクローンなんだな、使い捨ての、とわたしは反射的にかんがえた。のだけれど、たぶんだいたいのひともそのへんは似たり寄ったりなのではないか。でも、いやだからこそ、まさかほんとうにそういうはなしだとは予想もしなかった。なのに、結末を迎えてみればすべてが想像の範囲内で、これにはいささかびっくりしてしまう。予想を裏切ればいいってものでもないが、裏切らなすぎるのはちょっと困りものだし、いくらなんでも限度があるはずだ。とはいえこういう悲劇はきらいじゃない。仮にサムの寿命が3年だとすれば、帰還した新サムも、地下にねむるサムたちも、ぜんぜんむくわれないってことはないにしろ、決してすくわれもしないわけだ。どうころんでもかれらにあかるい未来はない。まあクローンの時点であれなんだけれど。って、すじがきはともかく、旧サムと新サムの容貌のちがいにはびっくりする。おなじにんげんでありながら、片方ぼろぼろ(やがてよぼよぼ)もう一方はまだぴんぴんしていて、ふるいのとあたらしいのが一目でわかるからだ。ふたりがはじめて対面するシーンからしてそうなので、べつに瓜二つじゃないじゃん、ほとんど別人じゃん、とおもったほどだった。メイクなのか演技なのか、きっと両方なのだろうけれど、サム・ロックウェルのひとり二役がとにかくすごい。
- 感想投稿日 : 2010年11月14日
- 読了日 : 2010年11月14日
- 本棚登録日 : 2010年11月14日
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