読みたいと思っているうちに20年が過ぎてしまっていた。急に読みたくなって中古で購入。(購入できて良かった~)
書名は、私的には『夢見る想いを深く植えよ』のほうがしっくりくるかな。
友人クイッグの死を書いた箇所がよい。
「……それは世間的な成功をほとんど味わったことがなく、しかも創造しつづけ、あたえつづけることをやめなかったある人の、人間的な勝利だった。……」(p168)
この一文を読んで、一気にメイ・サートンが好きになってしまった。
ほかにも好きな箇所がいくつかある。
「私は人の死に方は、その生き方あるいは愛し方と同じほどはっきりと、その人間の本質を見せるものだと、信じるようになった。私の母は、私がつきそっていた長い緩慢な凋落の月日を通して、一度も苦痛を軽くしてほしいと不平をいったり、懇願したりしなかった。彼女は閉じてゆく花のように自らを内部へと包みこみ『離してゆかせる』ために、彼女が愛したすべてのものから自分をやさしく切り離してゆき、ついには私たちには光、人間的なものを感じさせない光のように思えるまでになった。……」(p165)
優しさに満ちあふれたまなざし。
読み返すと、文章の美しさにも気づく。訳者の力によるところもあるのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年8月3日
- 読了日 : 2018年4月30日
- 本棚登録日 : 2018年8月3日
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