マイケル・ジョーダンリバウンド (文春文庫 ク 7-4)

  • 文藝春秋 (1999年5月1日発売)
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本棚登録 : 31
感想 : 4
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今さらながらに古本屋でたまたま見つけたので手にとって読んでみたわけだが、評判通りの硬質な文章だ。
少なくとも表層的には極限まで主観というものを削ぎ落とし、また伝聞形式も使わず、著者が実際に取材対象者と接した日々の記録、という表現が最も近い。
そういった意味では非常に読みやすく、また大上段に構えたリポートには決して反映されないであろう瑣末なやりとりなんかも窺い知れて、MJ信者にはたまらない一面もある。
であるから他方、全体構成は練り上げられたものではないのだが、一見事実の羅列に過ぎないと思わせながら、巧みに著者の想いのようなものをちゃんと随所に組み込んでいるのが上手い。
作中に入れ込む事実の選択というものに、確実な著者の意図を感じる。
ただ、節目節目に登場する叙情的な文章すらもこうなったら排してしまって、いっそハード一辺倒のルポタージュを読みたかったような気もする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫
感想投稿日 : 2011年8月15日
読了日 : 2011年8月15日
本棚登録日 : 2011年8月15日

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