中学生くらいの時に近代文学の歴史を覚える中で、
井上靖、天平の甍というキーワードを覚えていましたが、
内容はどのような作品かは全く把握していませんでした。
たまたま図書館で見かけたので、読んでみることに。
本書は天平(奈良時代)の時代を舞台にした、歴史小説で、
遣唐使として、中国(長安、揚州)に入った僧の
考えや人間模様、遣唐使としての活動が描かれています。
中国の律を日本に持ち帰りたい為、経典を写経し続ける僧、
中国の広大な土地や世界観に魅せられ旅をし続けた僧、
写経ではなく、中国の高僧(鑑真)を日本に招きたい為、
日本への帰国を目指すが、何度も座礁し、戻れぬまま、亡くなった僧。
など、奈良時代の渡航の難しさや、情報の伝搬方法の地道さというのを
ひしひしと感じられました。
最終的には本書のメインである普照が鑑真を日本に招くことに成功し、
唐招提寺を建立するという歴史的にも有名な部分が描かれています。
(阿倍仲麻呂や吉備真備など教科書に出てくる人物も出てきます)
当時遣唐使として日本に情報を持ち帰ろうとしたが、
心半ばにして亡くなった人もたくさんいたんだろうな。。。と思いました。
58年前の作品で、少し漢字が多く読みづらいところもありますが、
そこを乗り越えると遣唐使の人たちの葛藤を知ることができます。
それが教科書にも取り上げられる所以なんだと思いました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年3月22日
- 読了日 : 2015年3月22日
- 本棚登録日 : 2015年3月9日
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