世界が生まれた朝に

  • 小学館 (1996年11月1日発売)
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本棚登録 : 76
感想 : 9
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緑色の目を持って生まれてきた賢者マンクンクの生涯を、アフリカの架空の国を舞台にして描いた長編小説。唯一無二である瞳の色を授かった運命は、「破壊者」として生きることをマンクンクに要求する。
部族社会での因習への反発、植民地支配打破への闘争、腐敗した独立政権への反抗。マンクンクの武器は「知」。「知」は、時に因習や迷信の暴露を呼び部族の輪を乱し、また時には植民地支配者のもつ科学力への傾倒につながり、はては物質主義を糾弾する根拠として、マンクンクを突き動かし、翻弄する。その有様は、そのままアフリカ諸国の近現代を体現している。
既に入手困難であることが残念。本来であればアフリカ文学の入門としてこれ以上ない一冊に思える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中東・アフリカ文学
感想投稿日 : 2014年12月30日
読了日 : 2014年12月30日
本棚登録日 : 2014年12月21日

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