そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房 (2010年11月10日発売)
4.13
  • (1513)
  • (1602)
  • (763)
  • (91)
  • (11)
本棚登録 : 16623
感想 : 1273
5

色褪せない孤島ミステリの原点。

年に数冊くらいは目にする孤島クローズドサークルもの。
それらを読むといつも思うのは、(アレを再読したい)。

しばらく前に、当時自分が読んだハヤカワ・ミステリ文庫版を実家から持ってきていたのだが、流石に年季が入り過ぎているのと、字が小さすぎるのとで次々と届く図書館本を押しのける程の力も発揮されず、長らく積読状態だった。

今年発刊された、ミシェル・ビュッシの『恐るべき太陽』は孤島クローズドサークルものとのレビューをいくつか拝見している。
ミシェル・ビュッシといえば自分的には『黒い睡蓮』。
あれには完全にしてやられた。
あの作家の書く本ならば、間違いない、図書館予約している『恐るべき太陽』が届くその前までには流石に再読しておかなければと思い、意を決してクリスティー文庫版をamazonで中古購入。

届いた本の表紙を見て、あれ?
amazonで見た近代的な感じの波打つ崖の上空写真(レビュー時点のブクログの画像もこれ)と違って、孤島の岬っぽい場所に赤い原住民のような人の佇む戯画っぽい表紙。
あ~、でもこれはこれで懐かしくもあり、ありかも。

で、一気に読了。
文字は大きいし(その分ぶ厚くなったけど)、訳も自然ですらすらと頭に入ってくる。
何と言っても面白い!

言ってみれば「孤島に集められた10人が次々に死んでいく。犯人は誰!?」というシンプルな話なんだけれど、短めの章、節で区切られているし、読者を飽きさせずどんどん話が展開していくので一度読みだすと止まらない。
やっぱクリスティすごい。

真相については全く忘れていたが、読み進めるうちに何となく思い出してきた。
そういえばこの”誰もいなくなった”時点で、当時中学生くらいだったろうか、「なにこれ、どういうこと!?」と衝撃を受けた自分を思い出す。
作品世界の雰囲気やこの圧巻の展開に完全に呑まれた。
海外ミステリを読み漁る道へ、間違いなく影響を受けた一冊。

読んでいる間、娘から「その表紙と全く同じ本、本棚で見たよ」。
「そう。でも文字も大きいし、文章も読み易くなってるから!!」。
年季本の方を積読中に娘に勧めていたのだが、残念ながらページが開かれることはなかった。
今回、興味をもったようなので改めて推しておいた。
「じゃあ学校の読書時間で読もうかな」と言っていた。
よしよし。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2023年11月5日
読了日 : 2023年11月4日
本棚登録日 : 2023年11月5日

みんなの感想をみる

コメント 2件

ひまわりめろんさんのコメント
2023/11/05

本好きって遺伝するんですかね?
うちの娘も自分がひくくらい分厚い本読んでるときあります
ともあれ布教活動お疲れ様でしたw

fukayanegiさんのコメント
2023/11/05

そうですねー、うちのは嫁さんが全然本読まないので若干中和されてる気がしますが。
もっと自分を脅かすくらい読んで欲しいw

なんなら、友達にも紹介しときなって言っときました。

ツイートする