今をときめく米澤穂信氏の2010年刊の作品。
よもやのファンタジー路線。
ファンタジーではあるものの、完全な架空の舞台というわけではない。
時は中世、英国から3日間ほど航海をして辿り着けるソロン諸島(さすがにこの島は実在のものではないかな!?)、サラセン人やらマジャル人やら、デーン人といった、普段はあまり耳にしない民族呼称を交えつつ、この島の領主殺害事件の犯人探し劇。
やはり読ませる力はあるし、魔法や呪いなどの設定自体はそういうものだと思えば全然受け入れられる。
が、一人の領主の殺害犯を追う過程で、国外から襲い来る敵との戦により命を落としていく村人、兵士達の姿を描いてしまうと、本筋の方がどうにも茶番に思えてしまってなんだかなぁ。
ミステリなんて、突き詰めて考えれば結局そういう違和感とのうまい付き合いが要るものなのかもしれないけれど、白けさせない世界観に引き込んでもらえると嬉しいものなのだが。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国内ミステリ
- 感想投稿日 : 2022年5月21日
- 読了日 : 2022年5月21日
- 本棚登録日 : 2022年5月21日
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