殺人偏差値70 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2014年5月24日発売)
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感想 : 16
5

○いずれも濃く思わずうなってしまう西村氏珠玉の8編の短編集。
「受験地獄」
T大受験2浪目の木村は、試験当日寝坊した。間に合わないと悟った木村は大学事務局へ「爆弾をしかけた」と電話を入れた。目論見通り試験時刻はずれ、受験にも成功した木村だったが、それを佐藤という男が不審に思って脅してきた。脅しに屈した木村は佐藤に金を渡し続け、ある日我慢ならなくなり殺しに行こうとして・・・
※若干上記エピソードとは違うが、2014年7月に日本テレビ系列で、「殺人偏差値70」というタイトルでリメイク実写化。

「海の沈黙」
新聞記者の田島は東北旅行の際、新聞で船の沈没事故の記事を読む。乗員全員が助かったという奇妙さに惹かれた田島は、漁師町Nへ向かい聞き込みを始めるが、街人の様子はおかしい。やがて、助かった高木という漁師に話を聞けたが、その高木も殺されてしまい・・・

「神話の殺人」
小雑誌社に勤める田辺は、「テレビに出演していた車引きの女は偽物」という奇妙な投書を調べ始める。実際に偽物で、ディレクターのでっちあげなのではないかと推理した田辺は東京の女のもとへ駆けつけるが、殺されてしまい・・・

「見事な被害者」
新聞記者の田島は、モナコレースで優勝した宗方の恋人を探していた。すると、偶然通りかかったアパートで自殺があり、それが恋人の上岡らしき人物だった。しかし覚醒した後話してみると別人だということがわかり狼狽するが、ある取引を田島は持ちかけ・・・

「高級官僚を死に追いやった手」
地方に飛ばされていた官僚・片桐は、いつか同期の里見が失脚しないかともくろんでいた。その折、失踪したという連絡が入り片桐が中央に戻されることになった。大臣の井上が仲良くしているKパルプの秘書や社長とも顔を合わせることになったがそのとき、里見が死んだという連絡が入り・・・

「秘密を売る男」
雑誌記者沢木は、政治家三田を選挙公報で告発する謎の立候補者前島徳三郎のことがとても気になった。取材に行った沢木は、前島が何者かから金をもらってその広報を書いていることがわかり、いろいろと調べていると、何者かが前島の名前の印鑑を作らせたことを調べていることがわかり、そのあとを追ってみると・・・

「残酷な季節」
安田プラスチック専務の水島は、社長の安田に呼び出され、経営難であることから不安を覚える。しかし打診されたのは新会社・安田玩具の社長就任だった。順調にいっていると思われた新会社の立ち上げだったが、ある朝出勤すると、横領の疑いで出頭せよというのである。おかしいと考えた水島は自白したことにして自宅に戻ったが・・・

「友よ、松江で」
警視庁の小川刑事は、松江のホテルから友人江上の手紙を受け取り、助けるために松江にやってきた。が、そこには江上はおらず、代わりに君原というアベックにたどり着く。ようやく江上を見つけたと思ったら逮捕されていた。江上の無実を晴らすために動き回っていると、江上の勤め先の岡村が殺され、「俺がやった」と言っていたらしい。しかし、真相は・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(西村京太郎)
感想投稿日 : 2016年5月15日
読了日 : 2015年5月1日
本棚登録日 : 2016年5月13日

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