上田さんはパティスリーの話は何冊か読んだが、SFは初めて。
だがこちらがお得意の作家さんなので、短編集ということもあり読んでみた。
頭がイソギンチャクの形をした奇妙な生物は不思議な局で人間たちを魅惑し、異形のモノに取り憑かれた従兄は人の目では見えないものを見る。生体脳を奪い自らの人工身体に移植した人工人間は完全な人間になれるのか、光る繭の中に詰まった数々の石が見せる夢は誰のものなのか。
短編集なのでテンポ良く読みやすいが、全体的に世紀末的設定で、人間が駆逐されたり住む場所がなくなったりと悲劇的な結末を感じさせるものが多く気が滅入る。
悲劇的だからこその美を描こうとしているのかも知れないが。
例えば人間は無理でも人間より能力のある異形のモノに未来を託したり、安易に取り込まれる人々に逆らって最後まで自分らしく抵抗を貫こうとしたり。
宇宙開発やロボット、AIなどの未来を垣間見せてくれる内容で興味深い。
ただ全体的に似たような展開と結末なので途中で飽きてきた。
かと言ってSFが苦手な私はガッツリした長編になると読む気が起きないのだが。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ドラマ ファンタジー
- 感想投稿日 : 2019年9月29日
- 読了日 : 2019年9月29日
- 本棚登録日 : 2019年9月29日
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