ローマ人の物語 (39) キリストの勝利(中) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2010年8月28日発売)
3.90
  • (58)
  • (104)
  • (62)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 836
感想 : 69
3

コンスタンティウス帝は、宦官の側近の意見を入れがちで、有能な部下を次々と粛清していく。それは、副帝であるユリアヌスにも及ぶ可能性は高い状況だった。一方、そのユリアヌスは帝国の西方、ガリアの再興に成功、ローマによる統治を回復する。
帝国の東方で、ペルシャとの戦闘を控えるコンスタンティウスは、ユリアヌス配下の軍を東方に配置換えしようとするが、軍団の反対にあい、逆にユリアヌスを正帝として担ぎ始める。
ここにきて、ユリアヌスはコンスタンティウスとの対決を決意。しかし、開戦する前にコンスタンティウスは病に倒れ、ユリアヌスの時代となる。
ユリアヌスは、コンスタンティウスが推進したキリスト教の保護を否定し、全ての既得権益を廃止する。ここにキリスト教信者との対立を生む。
ユリアヌスは、ペルシャとの対決をコンスタンティウスに代わって実行するが、結果的にはキリスト教を信じる部下との確執が絡まり、上手く戦果を上げられない。そんな中、ユリアヌスもペルシャとの戦闘中に傷を受けて死去。
次なる皇帝にユリアヌスの護衛隊長であったキリスト教を信じるヨヴィアヌスが、軍団内で選ばれる。ヨヴィアヌスは、ペルシャと講和し、反キリストの政令を廃止しながら、コンスタンティノープルに帰る。しかし、その途中に謎の死を遂げる。
作者はユリアヌスがキリスト教に対抗したのをローマの最後の足掻きとして、評価するスタンス。キリスト教の浸透がローマ的なるものを次々と奪っていく中、そのような見方もかなり納得できる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2021年9月19日
読了日 : 2021年9月19日
本棚登録日 : 2021年9月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする