堅苦しい、小難しい仏教書だと思ったら大間違い。
著者は、長く日本に住んでいるスリランカ仏教界の長老。日本の中高生を相手にした講演と授業を本にまとめたものだそうで、「です・ます」調のわかりやすい話し言葉で書かれています。
内容も仏教書にありがちな仏典からの引用は少なく、代わりに、仏典の中のお話をかみくだいて易しい物語として紹介しています。
例えば、若きシッダールタ王子が生老病死の苦しみを初めて知ったとされる有名な「四門出遊」のエピソード。著者はこれを「結局はつくられた物語」と言い切り、「大事なのは物語ではなく、この物語が言わんとするポイントです」と説明しています。
いわく、「すべての生命は老い、病み、死ぬ。俗世間にしがみついて欲におぼれて生活すると、老病死の苦しみの渦巻きにのまれる」という結論を、たとえ話にしたのが「四問出遊」だというのです。
このように、前半はスラスラと読み進められるのですが、読み進むにつれて、徐々に抽象論が強まってきて、「???」という部分が散見されるようになります。平易な例えのつもりであろうと思われる話が、かえって意味不明に陥っているような部分も。
聞いていた中高生は、はたしてどれくらい理解できたのだろうか…。
もうちょっと、話を整理してまとめた方が良さそうですね。
(2007年7月20日読了)
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- 感想投稿日 : 2013年11月9日
- 読了日 : 2007年7月20日
- 本棚登録日 : 2007年7月20日
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