シェイクスピア全集 (2) ロミオとジュリエット (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (1996年4月24日発売)
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感想 : 62
5

言わずと知れた恋愛悲劇。話の筋もだいたいみんな知っているけれど、きちんと読んだことはなかったので、読んでみました。
確かにラストは悲劇的ですが、戯曲全体はスピード感あふれる喜劇的要素の強い作品です。かなり猥褻で直接的なセリフもたくさん出てきます。
なんて言っても、ジュリエット若すぎ。14歳の誕生日2週間前なんだよ。
ロミオ心変わり早すぎ!ロザラインという女の子にメロメロだったのに、日曜日の晩のダンスパーティでジュリエットに一目ぼれ。有名なバルコニーの場面となります。翌月曜日の午後には密かに結婚。こんなのあり?
火曜日にはジュリエットの従兄を殺してしまい、方やジュリエットの父親は別の結婚を決めてしまいます。その日の晩には例のしびれ薬を飲んで、水曜日の朝には仮死状態で発見され、その日の晩に二人は死んでしまいます。この間わずかに4日間。ちょっとちょっとという感じですよ。
そしてその4日間で4人の若者が死に、モンタギュー家とキャピュレット家はともに跡取りを失います。
四大悲劇のような重さは全くなく、話の展開が早すぎるので悲劇的要素をほとんど感じ取ることができません。
その点、この作品を脚色した後世の作品(バレエやウエストサイド物語など)では、悲劇的要素を拡大させて、話をドラマチックに仕上げる工夫が必要になったんですね。
言葉遊びも多いし、翻訳にはかなり苦労したと思います。

原書名:Romeo and Juliet

著者:ウィリアム・シェイクスピア(Shakespeare, William, 1564-1616、イングランド、劇作家)
訳者:松岡和子(1942-、中国長春市、翻訳家)
解説:中野春夫(1957-、英文学)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 英米文学
感想投稿日 : 2012年8月20日
読了日 : 2012年8月20日
本棚登録日 : 2012年8月20日

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