物語は、南の豊かな海洋国、サンガル王国に移る。
舞台ががらりと変わったせいか、一層色彩感が豊かに加わった気がする。
この巻には、バルサが登場しない。
サンガル王国の新王の即位の儀に参列したチャグムとシュガを軸に展開する。
サンガル王国を足掛かりに、北の国々へ版図を広げようとするタルシュ帝国の暗躍。
シリーズとしても、本作が大きな結節点になるらしい。
カリーナ王女やサンガル王、新ヨゴ国の帝など、国のために人ひとりの命を顧みることのない人々と、そういう考えに激しく抵抗を示すタルサン王子やチャグムの対立が印象的だった。
人を見殺しにしないという優しさと、それを貫く心の強さを育てているチャグムの成長が眩しい。
海洋民ラッシャローの娘、スリナァの活躍も目覚ましい。
タルシュの陰謀に巻き込まれ、家族を襲われた上に、その情報をサンガルの王都へ伝え、ナユーグル・ライタの目にさせられてしまった幼いエーシャナを救うため、八面六臂の活躍をする。
そんな大活躍の割に、後悔ばかりしているのが不思議と微笑ましい。
彼女はこの先、シリーズに出てくるのだろうか?
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年4月30日
- 読了日 : 2017年4月30日
- 本棚登録日 : 2017年4月30日
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