春から夏、やがて冬

著者 :
  • 文藝春秋 (2011年10月17日発売)
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本棚登録 : 827
感想 : 202
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「葉桜の季節に・・・」以来の歌野晶午。
スーパーの保安員である平凡なサラリーマン平田誠が、万引きをした女性末永ますみと出会うところから話は始まる。
娘を交通事故で失い、妻は自殺、自らも肺癌に侵され生きる気力もなく治療さえ拒否している平田。娘と同じ年のますみに何かと手助けをする。そして起こった事件。

歌野さんだから、一筋縄ではいかないだろうと身構えての読書だったからか、帯にあったという「ラスト5ページで世界が反転する」ということはなく、「そういうことか・・・」という印象。

ただ、全体を通して描かれる平田の苦悩は読んでいて辛すぎる。娘を失くすということは、たとえそれが事故であっても、親はこうして自分を責めて責めて、赦さないんだろうな・・・。自分を責める先に生きる望みはないのだ。
結末は皮肉な結果に終わったけど、平田が安らかに家族のもとに旅立てるといいなと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年1月6日
読了日 : 2018年1月6日
本棚登録日 : 2018年1月6日

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