グローバル・ヒストリー入門 (世界史リブレット 127)

著者 :
  • 山川出版社 (2010年2月1日発売)
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感想 : 21
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グローバル・ヒストリーについて著者は、
①あつかう時間が長い(有史以前、場合によっては宇宙の誕生までもが対象となる)、
②対象となる空間が幅広いこと(「国」の枠組みにとらわれることなく陸域、海域全体の構造や動きを問題とすることが多い)、
③従来の歴史叙述の中心にあったヨーロッパ世界の相対化、あるいはヨーロッパが主導的役割をはたした近代以降の歴史の相対化がなされていること(従来重視されてこなかった非ヨーロッパ世界の歴史や、そこでの歴史発展のあり方が重視される)、
④たんなる地域比較で終わるのではなく、異なる諸地域間の相互連関、相互の影響が重視される、
そしてもっとも重要な特徴として、⑤あつかわれている対象、テーマが、従来の歴史学ではほとんど取り扱われてこなかったものが多く、歴史学に新たな視覚をもたらすものであること、という5つの特徴をあげています。

正直対象が広すぎて、よく分からなかったというのが感想ですが、上記の5つの特徴は、最近の世界史教科書では(不十分ながら)ずいぶん取り入れられているような気がします。最近の教科書では、序章として地球誕生→生命の誕生・進化→人類の誕生という流れを載せているものも多いですし、ユーラシア世界やインド洋交流圏・地中海交流圏などもわざわざ章立てして取り上げています。また、不十分ながらだいぶヨーロッパ中心史観も払拭されてきましたし、諸地域間の交流にも多くのスペースを割いています。そして教科書の最初には「世界史における時間」や「世界史における子供」といったテーマが掲載されています。実はこのグローバル・ヒストリーというものは、知らず知らずのうちに我々に浸透しているということなのでしょうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界史
感想投稿日 : 2010年5月24日
読了日 : 2010年5月24日
本棚登録日 : 2010年5月24日

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