鯨崎町の子どもたちにだけ知られていることだが、ゴツゴツとした崖を降りていった所に、そのお店はある。
「おもいで質屋」
丸い文字で書かれた木目調の看板が掲げられたカシスムースのような見た目の可愛い小屋。
そこに住む魔法使いに想い出を預けてお金と交換する。20歳になるまでに取りに来なければ、想い出はヒトデになって海に沈んでしまう。
遥斗はお母さんに怒られたり嫌な想い出を毎日毎日預け、里華は一切想い出を預けずそれでも毎日のように質屋を訪れる。
大人になる前に掴むことができる柔らかな想い出。
シンプルなファンタジー。
魔法使いと男の子と女の子。それぞれがそれぞれの時で感じる思いを繊細に描いたストーリー。
20歳になると「おもいで質屋」のことを忘れてしまうという、子どものためだけの物語が純粋すぎてあまりにも美しい。
10代の頃の想い出って、その時には預けてしまっても良いかなと思うんだけど、大人になるとその頃の想い出はあまりにもキラキラしていて、こういう話を読むと羨ましくなってしまう。
年明けから良い本を読みました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ファンタジー
- 感想投稿日 : 2014年1月13日
- 読了日 : 2014年1月13日
- 本棚登録日 : 2014年1月13日
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