第148回芥川賞候補作「美味しいシャワーヘッド」を収録した中短編集。
舞城王太郎さんの作品は初体験。かなりクセのある文体の作家さんだというのは聞いていて、初めてならこれがお薦めと何人から言われたので手に取りましたが……うーん、文体よりも物語にクセがあるなぁ。
7編の物語とも物語が向かう方向に意外性があって、言葉の選び方一つ一つが特徴的。現実の世界で、あまりウチの周りにいないタイプの登場人物でその違和感が時々、イラッとさせられます。
「やさしナリン」は夫婦の物語。人の可哀想に異常に反応してしまう夫とその妹に振り回されながら、関係を再構築していく過程が伺えます。
「やさしナリン」という言葉の選び方が単純に凄いなぁと思いつつ、突き放した見方に同調仕切れず消化不良。
「すっとこどっこいしょ。」「ンポ先輩」「真夜中のブラブラ蝶」は登場人物に受け入れづらい方が登場するので、読んでいると結構苦痛。
一番好きなのは「あまりぼっち」かなぁ。
ある日突然、自分の目の前に現れる"昨日の自分"。別居中の妻子の元に向かうも、その日の晩には"昨日の自分"は消えてしまう。
SFな設定ですが、他人に興味のない今の自分と、消えてしまう不安を抱えた昨日の自分との対比が面白いですね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年10月14日
- 読了日 : 2013年10月13日
- 本棚登録日 : 2013年3月31日
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