下戸は勘定に入れません

著者 :
  • 中央公論新社 (2014年5月23日発売)
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本棚登録 : 292
感想 : 59
4

あまり実用性のないエスパーが、その特異環境でロジカルな謎解きを行う、著者専売特許みたいな短編集。
あらすじは西澤保彦なら馴染みあるものだが、同じタイプの作品中でも印象に残る面白さ。
今回、連作短編ということもあって「能力・状況設定」「謎の発露・発展」「論理的な議論・解決」がとにかくスタイリッシュに納められている。突拍子もない話を、60ページ程度で、違和感はなくむしろ馴染みあるくらいに話を進めるセンスはとんでもない。
この美点は、全編をひとつの長編として捉えたときも有効で、大前提が既に奇抜なのにも関わらず、よくまぁというほど派手にストーリーを転がす。
ラストがいくらなんでもズルい収束だが、中年のタイムスリップものであり、面白可笑しい青春小説の側面も持つ良作。
4

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2016年6月28日
読了日 : 2016年6月28日
本棚登録日 : 2016年6月28日

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