美少女美術史: 人々を惑わせる究極の美 (ちくま学芸文庫 イ 55-4)

  • 筑摩書房 (2017年6月6日発売)
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本棚登録 : 224
感想 : 10

約240ページの中に現れる絵画の数はなんと200点。それら絵画の中で何かに対して微笑んでいたり、何かを思って虚ろな目をしていたり、これから殉教するにも関わらず毅然な態度をとっていたりと多種多様な表情を見せてくれるのは文字通り全て"少女"であります。

本書は主に18世紀~19世紀"大人のミニチュア"から"子ども"という概念が生まれた時代に描かれた数々の絵画や彫刻とそれら時代背景の紹介となっており、宗教的テーマも教訓もないただの子ども風俗画であるファンシーピクチャーというジャンルにはじまり、「不思議の国のアリス」「聖母マリア」「聖アグネス」「ジャンヌ・ダルク」「ダフネ」「プシュケー」「パンドラ」といった有名どころから、神に仕える職業的な処女である巫女たち(ウェスタの巫女・デルフォイの巫女)や勝利を告げるギリシャの女神ニケ、キリスト教徒として育てられ結婚はしたが性交渉はなしという条件を相手に認めさせ最後には夫婦そろって首を斬り落とされた殉教聖女チェチリア、父殺しのベアトリーチェ・チェンチ、シェイクスピアのハムレットに登場する悲劇のヒロインであるオフィーリア等々挙げればキリがないほどの"少女"が登場します。

作品を手掛けている芸術家や画家のファンはもちろんのこと、上記の少女が登場する物語に興味ある方、とにかく少女を嗜好する方には大変満足度の高い一冊であるかと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年8月12日
読了日 : 2017年8月12日
本棚登録日 : 2017年8月12日

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