学び続ける力 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2013年1月18日発売)
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池上彰さんが記者時代に身に付けた知識で始めたNHKこどもニュース番組で、なぜ、そうなのか?という子供の素直な疑問から、「自分はまだまだ物事を知らない」とさらに50代で社会人コースに通い学び続ける池上さんに脱帽します。
そう思ったら、池上さんのお父様も働きながら英語を勉強し、通訳の資格で退職後のキャリアを磨き続けたと記載していて、すごいと思った。

最終的には東工大のリベラルアーツの教員として、現代世界の歩き方の授業から、教養の話、今後必要な力の話を語っている。

・現代世界の歩き方
社会がどうなっているか学ぶことの必要性。常識、他者と暮らすための認知、勉強、努力の仕方を学ぶことが人生で大事
 →すぐに役に立つものはすぐに役に立たなくなる
 →理系大学で専門を増やし、一般教養の授業を減らしたところ、知識はあるが常識がない学生が多いと企業からクレーム

・メモを取る力
パワポ・黒板の板書が多いと、ノートを取ることに必死になり、話を聞いてもらえない
 →重要なキーワードを「聞き取り」「まとめる」力が低くなる

・当時の空気感を伝える難しさ
当時の学生運動について、当時生まれておらず、経験していない学生に当時の空気を伝えても自分事として認識しずらい
 →歴史の追体験
 →学生に縁のある人や場所にからめて想像しやすくする(卒業生の話やキャンパスの場所についてなど)

・批判力
話を真正面に受け止める素直な感じの学生が多い
 →疑問をもっていちいち考えると受験戦争に勝てないので、先生の言った事を素早く吸収して試験で吐き出す能力や、先生の求める答えを察知する能力に長けてくる

・ノートの取り方
講義で聞いた一言一句メモ(キーボード入力)はおすすめしない
 →ただの議事録になり、自分のものに消化する作業ができない。(リポーターではなくポーター(運び屋)になるな)

・紙の新聞や読書の重要性
読みながら他の情報が目に入る新聞は紙がおすすめ。また、出版本は編集や校閲、引用元の記載が入っているので、誤字脱字などが少なく良質な文書に触れられる。(ネット小説とかをそのまま出版しているものもあるので最近は一律そうとは言えないが)
 →池上さんが影響を受けた本「読書について(ショーペンハウエル著)」で、「本を読むことは他人にものを考えてもらうことである。」とあり、他人が考えたことを追いかけているにすぎず、自分でものを考える行為が読書には必要。著者が何を言いたいか、自分は何を得たのかを考える。
 →B5ノートの左に5W1Hを書くのは鉄則

・検索能力があればOK?
 検索ワードですぐに答えを出せる時代だが、その引っ張った答えと、他の情報を重ねて新しい発想を生み出す能力まで展開しないと意味がない。
 →前に読んだメモの魔力に書いてあった、物事を抽象化するスキルのことか!?

池上さんの著書を読むと、すぐには役に立たないこと、一般教養を学びたいと強く感じる。日本史や、宝石の知識、紅茶の知識、西洋美術の歴史…。昔もっとまじめに勉強しておけば…と後悔する気持ちもあるが、今学ぶことが楽しいと感じることが嬉しい。
できればこれで人の役に立てるスキルとして副業に紐づければいいなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養・社会
感想投稿日 : 2019年10月1日
読了日 : 2019年9月30日
本棚登録日 : 2019年9月29日

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