虹の家のアリス (文春文庫 か 33-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2005年12月6日発売)
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感想 : 69
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2巻目。
・前作より不思議の国のアリス風味が減った。
・仁木の探偵ぶりが板についてきた
・安梨沙の家事能力と聡明さとしたたかさが際立つ
・仁木の娘と息子の丹力に感銘

彼女の聡明さでもって、仁木を立てながら問題解決に助力し、新たに依頼人を作り出す手腕を持っている。
それでも安梨沙は今まで誰かの幻想でいることに応え続けて、自分がやりたいこと、なりたいものが見つけられずにいたのだろう。でも仁木探偵に出入りして、仁木の家族に触発され、どんどん変わっていく。

実家の人間からの「理想の娘」像…おしとやかで美人で、気が利いて、家事が上手で夫を立てて自分達の言うことをよく聞く子。。。
どこへ出しても恥ずかしくないお嫁さんにするためだけに仕込まれたスキル。
もちろん、それは今自分が「教養」としてものすごく欲しいスキルだけど(笑)
自分が好きで磨いたものじゃなければ確かに美佐子の言う通り不憫だ。

でも最後には
「私はもう、人が見たいものが映る鏡でいるのは、止めたの」
と決意し、実家に戻るという。

え、安梨沙さん、せっかく
色々自由に羽ばたけそうなのに!?
男の趣味マジで悪いな!
でも、彼女の力でこれから、彼女の周りの人間も変わっていくのかもしれない。
たぶんそんなに劇的には変わらないだろうけど、仁木一家というよりどころができた彼女はきっと、今までとは違う、「自分の言いたいこと、やりたいこと」を行っていくのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日常の謎
感想投稿日 : 2019年7月31日
読了日 : 2019年7月31日
本棚登録日 : 2010年10月23日

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