筆者の知の総体は底が知れない大きさであることは間違いがないだろう。
だが、中には首を捻りたくなる知識も幾つか含まれている印象。
たとえば『万葉集』の防人歌を貴族の戯作、とされているのは如何か。
選者とされる家持は兵部少輔だった際に、実際に防人たちに接する機会があり、採集の機会があったという。
よってこれらの大部分は防人自身によって歌われていた、というのが定説だったはずである。
こうした曖昧な知識が時折見られてしまうと、我が無知ゆえにその他の膨大な情報もどこまで正確であるか、信じていいのかわからなくなってしまい、ひいては筆者の主張すら怪しく見えてきてしまう。
また、少々話がそれがちで、概念図を書こうとしない限り論旨が見えにくく、結局私には「恋愛至上主義はもてない男を無視している」以上の主張が読み取れなかった。
もう少し論点を整理して書いて欲しい。
##以下を書き直しました##
筆者の読書量は驚嘆に価すると思う。
だが他の方もレビューで指摘されているように、中には不正確なものも多く含まれている印象。
中でも『万葉集』の防人歌を貴族の戯作である、と断言しており瞠目した。
選者とされる家持は兵部少輔だった時に、実際に防人たちに接する機会があったと聞いている。
これらの点から、これらは防人自身によって歌われていた、というのが定説、と私は大学の日文科で習った。
こうした曖昧な知識が混ざっていると、作者の主張を支える膨大な知識のどれも疑わしいものに思えてしまう。
また、少々話がそれがちで、論旨が見えにくく、結局私には「恋愛至上主義はもてない男を無視している」以上の主張が読み取れなかった。
この点、本書を著者のいう、“学説”とするには少々無理があるだろう。根拠が不正確で、何を言っているのか分からないからである。
読者としてはひとつひとつの批判点を整理して書いて欲しい。
(また197頁後半は、文章として何を言いたいのか分からなかった。ここは特に修正を頂きたいと思っている。)
- 感想投稿日 : 2013年7月31日
- 読了日 : 2013年7月31日
- 本棚登録日 : 2013年7月31日
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