新右翼の重鎮・鈴木と、公安警察に身を置いたこともあるという作家の北芝健による共著。公安に監視される側と、監視する側だった人物の組み合わせであるわけで、キャスティングが面白い。
私は、立花隆の『読書脳』で本書が紹介されていたのを読んで興味を抱いたしだい。
1~2章は鈴木による日本の右翼の解説、3章は北芝による公安警察の解説で、最後の第4章で両者が対談するという構成だ。
そこそこ面白いけれど、全体に薄味な印象の本。対談ではところどころ人名が伏せ字になっていたりするが、「タブーを暴く」というほどでもない。
それと、鈴木はともかく、北芝の文章が劣悪。彼が書いた部分は読みにくいったらない。
たとえば――。
《論を待つまでもなく、どのような組織でも内部が均質で一定しているものなどあり得ない。
公安警察とて同様。
異なった見解、意思、人格の混合体である以上、成員みなが満足ではないが強固な意見と上部の強力な要求で行う強引かつ誤謬を発生させるリスクを敢えて厭わぬ捜査方法も存在したことがあったのである。》
「悪文の見本」のように言われる裁判所の判決文でさえ、いまどきこれほどの悪文にはお目にかかれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
政治
- 感想投稿日 : 2018年10月13日
- 読了日 : 2014年5月5日
- 本棚登録日 : 2018年10月13日
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