あまり期待せずに観たのだが、意外によかった。名作マンガの映画化としては、かなり上出来の部類。映画版『寄生獣』なんかよりずっといい。
私は紡木たくに思い入れはないが、『ホットロード』は好きだった。1980年代後半のマンガ青年にとっては、いわば“必須の教養”の一つだった作品なのである。大塚英志の『システムと儀式』所収の『ホットロード』論(※)を読んで、「へ~っ」と感心したりもした。
※「『ホットロード』は儀式のない時代にあって作り出された少女たちのための通過儀礼の神話であった」云々というもの。
この映画版は、原作に対する素直なリスペクトが全編に満ちている点が好ましい。
忠実すぎるほど原作に忠実に作られているのだが、たんにストーリーをなぞった感じではなく、「原作の持つ空気感まで完全再現してやろう」という意気込みが伝わってくる。紡木たく作品独特のコマ割りまで、映像によって完コピしている印象なのだ。
観る前は「能年玲奈(当時19歳くらい?)に女子中学生の役はさすがに無理じゃないの」と思っていたのだが、実際に観てみるとまったく違和感がない。まあ、私は『あまちゃん』を観ていないから、『あまちゃん』のイメージとの齟齬が気にならないせいもあるだろうが……。
能年玲奈も春山役の登坂広臣も、それぞれ熱演だし、原作のイメージを損なっていない。
単純に青春映画/アイドル映画として観ても、かなり「いい線いってる」と思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本映画
- 感想投稿日 : 2018年10月6日
- 読了日 : 2015年6月25日
- 本棚登録日 : 2018年10月6日
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