止められるか、俺たちを [DVD]

監督 : 白石和彌 
出演 : 門脇麦  井浦新  満島真之介  渋川清彦  音尾琢真  高岡蒼佑  高良健吾  寺島しのぶ  奥田瑛二 
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感想 : 6
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 若松プロの映画作りの現場を、早逝した紅一点助監督・吉積めぐみの視点から描いた青春群像劇。

 若松孝二になんら思い入れのない当方から観ても、なかなか楽しめた。

 門脇麦が演ずる吉積めぐみを主人公に据えたことは、正解だと思う。かりにこの映画から彼女を差し引いてしまったとしたら、なんともむさ苦しい映画になったことだろう。

 足立正生、秋山道男、荒井晴彦、大島渚から赤塚不二夫に至るまで、若松プロとその周辺にいた人々が続々登場し、ゴージャス。

 1960年代末から70年代初頭にかけての、熱い「政治の季節」の東京を描いた映画としても、みずみずしい。

 若松孝二が晩年に撮った作品『11・25 自決の日  三島由紀夫と若者たち』で三島由紀夫を熱演した井浦新が、本作では若松孝二を演じている。今回も魂のこもった熱演である。

 タイトルは当時の若松プロの面々から大不評を買ったらしいが、私はけっこう好きだ(昔、暴走族の写真集に同題のものがあった)。

 門脇麦の熱演が素晴らしい。「何者かになりたいが、何者にもなれない」表現者の卵――その焦燥や痛々しさまでも表現して出色だ。

 白石和彌監督の前々作に当たる『サニー/32』は世にもクダラナイ珍作だったが、それでも、あの映画でも門脇麦だけは光っていた。

 あと、サニーデイ・サービスの曽我部恵一が手がけた音楽(最後に流れる主題歌「なんだっけ?」も歌っている)がとてもよい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本映画
感想投稿日 : 2019年4月5日
読了日 : 2019年4月5日
本棚登録日 : 2019年4月5日

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