止められるか、俺たちを [DVD]

監督 : 白石和彌 
出演 : 門脇麦  井浦新  満島真之介  渋川清彦  音尾琢真  高岡蒼佑  高良健吾  寺島しのぶ  奥田瑛二 
  • Happinet
3.50
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953272903

感想・レビュー・書評

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  • 映画館にて、舞台挨拶付き。
    井浦新さんと白石監督に、
    いつも応援していると伝えられたことが嬉しかった。

    この時代の日本の熱量を実際には知らないけれど、
    若松孝二を中心に、
    今の時代も活躍する映画人たちが過ごした日々は、
    製作者たちの意気込みと、
    時代に流れるどこか退廃的な空気感と、
    妙にふわふわした世界に見える。

    ひとつの喪失が、
    その後彼らに何をもたらしたのかを考えながら、
    他の作品を観たくなる。

  • 2018年 日本 118分
    監督:白石和彌
    出演:門脇麦/井浦新/山本浩司/大西信満/タモト清嵐/毎熊克哉/高岡蒼佑/高良健吾/満島真之介/寺島しのぶ

    1969年、吉積めぐみ(門脇麦)は、当時若者から熱狂的な支持を得ていたピンク映画監督・若松孝二(井浦新)
    率いる若松プロに参加する。助監督としてしごかれながら、紅一点として頑張るめぐみの周囲には、夢と熱意を持ち映画製作に取り組む大勢の男たちがいた。しかし次第に脱落者も現れ、めぐみ自身も自分のやりたいことや目標は何か悩むようになり…。

    自身も若松組出身の白石和彌が監督した青春映画。若松監督作品の出演者たちがこれでもかと集まった豪華キャスト。当時の映画事情に詳しければもっと楽しめたかもしれないけれど、さすがに登場人物(実在)の大半は私にはわからなかった。大島渚(高岡蒼佑)や荒井晴彦(藤原季節)あたりはさすがに知っていた程度。出演俳優の吉澤健役を高良健吾が演じていたけれど、本物の吉澤健もバーのマスター役で出演。その他、ちょい役の飲み屋のママが寺島しのぶだったり。監督自身が、三島由紀夫を演じていたり。

    若松監督の作品については、代表作である「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」は未見で、「エンドレスワルツ」(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B005Z9EKVG)はまあまあ好きだったけれど、遺作となった「千年の愉楽」の実写映画化は個人的にはイマイチだった(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B00E57M69M

    当時の実際の映画の映像はなかなか前衛的で興味深かった。今はいろいろルールが厳しいからこういうのもう撮れないんだろうなー。そして何より、現代の商業主義ではなく、映画製作に思想や哲学、確固とした信念を持って彼らは挑んでいたのだということはとても伝わってきた。学生運動の時代ならでは。今こういう姿勢で映画を撮る監督はほぼいないだろうな。

    ただ個人的には、映画として面白かったかというと微妙。まず台詞が聞き取りにくく、ボリュームをあげたら音楽ばかりが大音量。酔っぱらって議論、掴み合い、わりとワンパターン。そしてこれ、若松監督自身の映画「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」を見たときも思ったけど(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B009O9W0RY)、井浦新はこういう破天荒系の役はいまいちなんだよなあ。好きな役者さんだけにもったいないと思ってしまう。

    終盤、めぐみの妊娠から急展開。実在の人だから事実なのだろうけど、そんな終わり方しちゃうのか…とちょっとモヤモヤ。まあ、だからこそ本作のヒロインたりえたのでしょうけれど。

  • 映画とは一体何なんだろうか。
    テレビドラマとの違いは何なんだろうか。
    演出とは何なんだろうか。
    監督とはどんな生き物なんだろうか。

    極論を言えば、その疑問の全てがこの映画には詰まっていた。
    観ていて、とても苦しくなった。
    それが映画を創るということなんだろう。

  • 若松監督ってこんな感じだったんか、と新さんの演技を見て。
    麦ちゃんすごいなあ。

  • 映画を撮るのに思想が必要な時代があった。
    思想がないと映画を語れない時代があった。
    シャツをズボンにインしている時代があった。
    マントを羽織ったバンカラがいた。
    どこでもタバコを吸える時代があった。
    学生が洋酒をストレートで飲んでる時代があった。
    2階からしょんべんする時代があった。
    200字詰め原稿用紙に鉛筆で書きなぐる時代があった。
    鉛筆を削るのに魂を込める時代があった。

  • 制作年:2018年
    監 督:白石和彌
    主 演:門脇麦、井浦新、山本浩司
    時 間:119分
    音 声:


    1969年春。21歳の吉積めぐみは、新宿のフーテン仲間のオバケに誘われ、“若松プロダクション”の扉を叩く。
    当時、若者たちを熱狂させるピンク映画を作り出していた若松プロダクションは、監督の若松孝二を中心とした新進気鋭の異才たちの巣窟であった。
    小難しい理屈を並べ立てる映画監督の足立正生、冗談ばかり言いながらも全てをそつなくこなす助監督のガイラ、飄々とした助監督で脚本家の沖島勲、カメラマン志望の高間賢治、インテリ評論家気取りの助監督・荒井晴彦など映画に魅せられた何者かの卵たちが次々と集まってきた。
    撮影がある時もない時も事務所に集い、タバコを吸い、酒を飲み、ネタを探し、レコードを万引きし、街で女優をスカウトする。
    そして撮影がはじまれば、助監督は現場で走り、怒鳴られ、時には役者もやる。
    そんななか、めぐみは若松孝二という存在、なによりも映画作りそのものに魅了されていくのだった。
    だがある日、めぐみに助監督の全てを教えてくれたオバケが、エネルギーの貯金を使い果たしたと若松プロを去っていく。
    めぐみ自身も何を表現したいのか、何者になりたいのか、何も見つけられない自分への焦りと、全てから取り残されてしまうような言いようのない不安に駆られていく。
    1971年5月。
    カンヌ国際映画祭に招待された若松と足立は、そのままレバノンへ渡ると日本赤軍の重信房子らに合流し、撮影を敢行。
    帰国後、映画「PFLP世界戦争宣言」の上映運動の為、若松プロには政治活動に熱心な多くの若者たちが出入りするようになる。
    いままでの雰囲気とは違う、入り込めない空気を感じるめぐみ。
    ひとり映画館で若松孝二の映画を観ていためぐみは、知らぬ間に頬を伝う涙に戸惑いを隠せないでいた…

  •  若松プロの映画作りの現場を、早逝した紅一点助監督・吉積めぐみの視点から描いた青春群像劇。

     若松孝二になんら思い入れのない当方から観ても、なかなか楽しめた。

     門脇麦が演ずる吉積めぐみを主人公に据えたことは、正解だと思う。かりにこの映画から彼女を差し引いてしまったとしたら、なんともむさ苦しい映画になったことだろう。

     足立正生、秋山道男、荒井晴彦、大島渚から赤塚不二夫に至るまで、若松プロとその周辺にいた人々が続々登場し、ゴージャス。

     1960年代末から70年代初頭にかけての、熱い「政治の季節」の東京を描いた映画としても、みずみずしい。

     若松孝二が晩年に撮った作品『11・25 自決の日  三島由紀夫と若者たち』で三島由紀夫を熱演した井浦新が、本作では若松孝二を演じている。今回も魂のこもった熱演である。

     タイトルは当時の若松プロの面々から大不評を買ったらしいが、私はけっこう好きだ(昔、暴走族の写真集に同題のものがあった)。

     門脇麦の熱演が素晴らしい。「何者かになりたいが、何者にもなれない」表現者の卵――その焦燥や痛々しさまでも表現して出色だ。

     白石和彌監督の前々作に当たる『サニー/32』は世にもクダラナイ珍作だったが、それでも、あの映画でも門脇麦だけは光っていた。

     あと、サニーデイ・サービスの曽我部恵一が手がけた音楽(最後に流れる主題歌「なんだっけ?」も歌っている)がとてもよい。

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