2018年 日本 118分
監督:白石和彌
出演:門脇麦/井浦新/山本浩司/大西信満/タモト清嵐/毎熊克哉/高岡蒼佑/高良健吾/満島真之介/寺島しのぶ
1969年、吉積めぐみ(門脇麦)は、当時若者から熱狂的な支持を得ていたピンク映画監督・若松孝二(井浦新)
率いる若松プロに参加する。助監督としてしごかれながら、紅一点として頑張るめぐみの周囲には、夢と熱意を持ち映画製作に取り組む大勢の男たちがいた。しかし次第に脱落者も現れ、めぐみ自身も自分のやりたいことや目標は何か悩むようになり…。
自身も若松組出身の白石和彌が監督した青春映画。若松監督作品の出演者たちがこれでもかと集まった豪華キャスト。当時の映画事情に詳しければもっと楽しめたかもしれないけれど、さすがに登場人物(実在)の大半は私にはわからなかった。大島渚(高岡蒼佑)や荒井晴彦(藤原季節)あたりはさすがに知っていた程度。出演俳優の吉澤健役を高良健吾が演じていたけれど、本物の吉澤健もバーのマスター役で出演。その他、ちょい役の飲み屋のママが寺島しのぶだったり。監督自身が、三島由紀夫を演じていたり。
若松監督の作品については、代表作である「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」は未見で、「エンドレスワルツ」(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B005Z9EKVG)はまあまあ好きだったけれど、遺作となった「千年の愉楽」の実写映画化は個人的にはイマイチだった(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B00E57M69M)
当時の実際の映画の映像はなかなか前衛的で興味深かった。今はいろいろルールが厳しいからこういうのもう撮れないんだろうなー。そして何より、現代の商業主義ではなく、映画製作に思想や哲学、確固とした信念を持って彼らは挑んでいたのだということはとても伝わってきた。学生運動の時代ならでは。今こういう姿勢で映画を撮る監督はほぼいないだろうな。
ただ個人的には、映画として面白かったかというと微妙。まず台詞が聞き取りにくく、ボリュームをあげたら音楽ばかりが大音量。酔っぱらって議論、掴み合い、わりとワンパターン。そしてこれ、若松監督自身の映画「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」を見たときも思ったけど(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B009O9W0RY)、井浦新はこういう破天荒系の役はいまいちなんだよなあ。好きな役者さんだけにもったいないと思ってしまう。
終盤、めぐみの妊娠から急展開。実在の人だから事実なのだろうけど、そんな終わり方しちゃうのか…とちょっとモヤモヤ。まあ、だからこそ本作のヒロインたりえたのでしょうけれど。
- 感想投稿日 : 2022年9月20日
- 読了日 : 2022年9月19日
- 本棚登録日 : 2022年9月20日
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