荒木飛呂彦の漫画術【帯カラーイラスト付】 (集英社新書) [Kindle]

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  • ジョジョの荒木飛呂彦さんによる「王道漫画の描き方」指南本です。
    映画を愛好する漫画家は少なくありませんが著者もその例に漏れないようで、まえがきでタイトルがトリュフォーによるヒッチコックへのインタビュー集『映画術』から名付けられていることがわかります。

    荒木氏は漫画で重要なものは以下の「基本四大構造」だとしたうえで、より重要な要素から順に解説を進めます。
    ①「キャラクター」…超重要。二番煎じはダメ。ヒーローの条件は孤独であること。
    ②「ストーリー」…「主人公は常にプラス」に。どの回も勝って終わるのがベスト。困難な状況に放り込む。
    ③「世界観」…リサーチをしっかりと。手抜きは禁物。
    ④「テーマ」…作者の哲学が出る。あくまで自分の人生に沿っていること。

    実際の漫画作品のなかで各要素がいかに満たされているかについて『サザエさん』、『こち亀』、『蟲師』、鳥山明、大友克洋などの作品と漫画家がしばしば引き合いに出されます。また4大構造をベースにしながら漫画における絵の重要性についての見解や、より実践に近い部分として氏の漫画を描く過程なども紹介されます。そんななかで「自分と違う意見に興味を持つ」「描いたものは忘れる」「人から褒められても本気にしない」「褒められて伸びるのは子どもだけで、むしろミスや失敗から次の作品へのヒントをもらい、描き続けられるのだと思います。」といった言葉も印象に残りました。

    荒木飛呂彦といえば絵そのものからキャラクターのポージング、単調なインフレにならない敵との闘い、セリフ回しや擬音など、一般的な少年漫画家の枠だけでは捉えきれない数々の魅力的な特徴を備えた作品で知られていますが、そんな荒木氏であっても「王道漫画家」として強い自覚を持ち、基本的な漫画のつくり方を意識したうえで作品作りに向かっていることを知ることができました。それと同時に本書では、頻繁に言及される上記のような荒木作品の特徴的な要素についてはそこまで多く触れられることはなく、その点はやや物足りなく感じました。

  • ジョジョの裏側を知れる。
    ウケる物語の作り方が論理的に解説されている。

  • 芸術でも仕事でもなんでもよいけど、表現をして相手に伝えることをしている人が、一度は目を通しておいた方が良い本。

    当たり前すぎることが書いてあるかも知れない。でも、人に自分の伝えたいことをちゃんと伝えるって、ここまで丁寧な観察力と表現力が大切なんだなとあらためて認識できる。
    そして、荒木さんの作品は、ものすごく地道な積み上げがある上で、天賦の才能が加わって成立してるんだなと感心させられる。

    「アイディアは尽きない」の節は、とても染み入る言葉だった。

  • 荒木先生の性格も垣間見える一冊。

  • 何を重視するのかって本当に漫画家さんによるんだな。荒木先生はストーリーに関してはあまり拘ってなかった感じ。拘りのパラメータって人によって違って、そのパラメータが自分と合ってれば合ってるほど共鳴して感動するんだろうな。
    キャラ、絵、ストーリー、世界観、全部がに興味があって全部に拘れる人は、もう漫画を描くために生まれてきた人で手塚治虫みたいな人かな?

  • 王道の道へ案内する漫画家への指南書。

    作品を描く上で大事な要素やそれを創造するポイントなど、荒木飛呂彦氏の独自の要素を加えつつわかりやすく解説してくれています。
    もっと深く知りたいのにさらっと流されていたり、作画について説明が簡単すぎだったりしますが苦労や失敗談などもあり、ファンは読んで損はない内容です。もっと変な人かと思ってたのですが(ごめんなさい)そうでもなかったです。

  •  大ヒットマンガ「ジョジョの奇妙な冒険」の作者がどうやって作品を産み出しているのかを赤裸々に語ったものが本書である。
     キャラクターの身辺調査資料なるプロフィールを作り、最終的な着地点を決めることでストーリーは勝手に動き出す。また、ヒトが普遍的に持つ優越性の追求と、その動機への共感の必要性などを解く。
     どの作家もそうなのだろうが、読者に媚び求めるままにつくりあげている訳ではない。作者ならではも譲れない価値観があり、とは言え読者に共感してもらえるように徹底的に寄り添う。本書で挙げられている事例はそのための探究の結果にあるようだ。
     マンガ制作という内容ではある。しかし、ヒトひとりの人生、グループ、社会にも適用できる汎用性がある内容になっている。本書の冒頭でもそのことは触れられている。
     これはある意味、マンガ道を追求していくことで、人類等の基本原理に触れることができている、と見ることもできるのではないかと思う。
     具体的に言えば、主人公たちのコンフォートゾーンを上げることで、スコトーマがはずれ、様々な難局を解決していく。これはコーチングや引き寄せの基本原理そのままである。
     「定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー」については私も読んでいる。似たような境遇で生活したこともある。しかし、この探究の熱の違いが結果として現れる。どう考えるかで世界や結果は変わるということだ。

  • ただ困難をぶつけるとマイナスになる。それを乗り越えたところでプラスマイナスゼロだ。主人公は次々と困難な状況に立たされるが、マイナスになる困難ではなく常にプラスの困難をぶつけるべき、という「プラスとマイナスの法則」。

    それを知って好きな映画を振り返ってみると、たしかに困難はあっても常にプラスな物語だったなあ、と。

  • あのジョジョの作者がかいた、漫画の王道のかき方の本。

    単なる一ファンとして読んだだけでもおもしろかったが、これを漫画を志す方が読んだら、もっとおもしろいのではないかと思った。

    作品を作る上でとても参考になるような気がする(門外漢なので分からないが)。

  • ・邪道を描く前にまずは王道を描く
    ・相手に興味を持ってもらう導入を描く→最初の1ページ
    ・キャラクター>ストーリー>世界観>テーマの順で重要な漫画の4大要素を抑える。どれか1つだけが突出していてもだめ。バランスよく。
    ・キャラクターは肉付けをしっかりする。矛盾のないようにプロフィールを、設定をしっかりつくる。
    ・読者に共感してもらえるキャラクターの動機づけをつくる。
    ・ストーリーは起承転結を忠実に守る。
    ・主人公の結末は常にプラス。挫折などの大きなマイナスからプラスにあがったり、プラスとマイナスの連続を繰り返すと読者はうんざりする。あえて、人間の暗黒面などを描くために主人公をマイナスで終わらせる展開も例外としてあるが王道ではない。
    ・主人公が困難に陥った時、それを偶然の一致で解決してはいけない。
    ・世界観は徹底的に取材して作りこむ。適当に描くとその矛盾を読者に突っ込まれ、読者は読む気をなくしてしまう。
    ・テーマは途中で絶対に変更しない。変更する場合は作品自体をリセットする。
    ・周囲の出来事に素直に反応できるアンテナを持ち続ける。自分が興味あるものだけを受け入れ、それに外れているものは無視する姿勢はNG。
    ・自分がよいと思ったことや自分とは違う意見、疑問に思う出来事、怖い出来事や笑える出来事などをその場ではなく、後でメモする。(本当に面白いものは忘れずに記憶に残るため)

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