遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1994年6月29日発売)
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本棚登録 : 1004
感想 : 106
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イギリスに住んでいた人の目線から見た、風変わりなイギリス人のものの考え方や日本との文化の差についての言及が非常に多く、観光者としてではなく居住者としてその土地の人びとと関わらないと見えてこない外国の側面が描写されており、非常に興味深く読むことができた。特に第十二章でイギリス特有のユーモア感覚について書かれた箇所は一読の価値がある。イギリスの料理はおいしくないという話は所々で耳にするが、この本でもイギリス料理に関しては辛辣に評していて実際に確かめてみたくなった。

この本をより特徴づけているのは、なんといっても著者が数学者であるということだ。数学者という言葉にはどこか自分のいる世界とは違うところにいる人という印象を受けてしまうが、この本に登場する様々な数学者もまた人間であり、ジョークを飛ばしあったりそりが合わない相手もいたりと彼らの日常にも自分たちに近しいものがあると感じた。

基本的に面白おかしく、時に考えさせられるというエッセイとしてのみならず読み物としてとても優れていると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2020年6月16日
読了日 : 2020年6月10日
本棚登録日 : 2020年4月16日

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