自分の十八番を尋ね、その裏話のインタビュー。いろんなことを考えるものだ。いろんな工夫や思い出があって読んでいて楽しい。十八番というのは聞く方が決めることとはどの噺家も言ってるけど。4,5人の登場人物の中出の会話をすすめていると端にいる人が視野に入ってきて、その人に声をかける、「紺屋高尾」で紺屋の職人が自分の身分を偽って太夫と会うのだが、手を見ればウソがばれるんじゃないかと気がつくと人前では話せなくなる。そこからどういうことか考えることで噺が深くなる。なんてリアルの追求をみなさんされている。
春風亭昇太/桃月庵白酒/柳家喬太郎/立川生志/林家正蔵に聞き、
古典・・・『権助魚』『松曳き』『火焔太鼓』『幾代餅』『按摩の炬燵』『しじみ売り』『お見立て』『紺屋高尾』『柳田格之進』『あたま山』『金明竹』『雑俳』『一目上がり』『桃太郎』『佐々木政談』
新作・・・『ストレスの海』『ハワイの雪』『科学の子』
が十八番。
最後に
三笑亭夢丸/立川こはる/春風亭昇々/瀧川鯉八/柳亭小痴楽/柳家わさびを取り上げる。
『同じ意味だからと思って「そんな女があっしのところに
嫁に来るわけがないでしょ」と八五郎が言って、大家さんが「いやいや、それがあるからあたしが紹介してやるって言ってんだよ」って言っちゃったら、小里ん師匠が、「『紹介』するなんて言葉は使わないんだよ。世話してやるんだ、って言うんだよ」。それを今でもよく思い出します。
そういう言い回しを大切にしたいので、あの人かっこいいね、とは言わずに様子がいい、って言いたいし、ど真ん中、って言うのも、あれは上方の言葉ですから、できる限り、まん真ん中、と言いますね。』-柳家喬太郎
『高座って、針のむしろですよ。座布団は針でできている。』-柳家喬太郎
『落語って不思議なもんで、言葉だけ追っかけているんじゃ、とても商品にならない。どこかで「肚に入ったかな」というところがないといけない。やっているうちに人物が勝手に動き出して、新しい風景が見える時があるんです』-林家正蔵
- 感想投稿日 : 2018年8月18日
- 読了日 : 2018年8月18日
- 本棚登録日 : 2018年8月18日
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