奇子(上) (角川文庫 ん 11-29)

著者 :
  • KADOKAWA (1996年6月21日発売)
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本棚登録 : 890
感想 : 104
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ザ・プロファイラーを観て、ちょっと前から軽く手塚治虫ブーム。今までちゃんと全巻読んだことがあるのは『火の鳥』『ブラックジャック』『アドルフに告ぐ』『アラバスター』『MW』、ぐらいです(オススメあったら教えてください)。
本当は『ブッダ』をちゃんと全巻読みたいなーと思ってたんですが、図書館にあったんで『奇子』から。いわゆる黒手塚とか裏手塚とか言われる作品群の中でも有名なひとつですが、注意して書いておきたいのは手塚先生の弟子筋は藤子F・Aもそうだし、富野総監督も黒富野白富野あるからなぁ、ということがひとつ。
あとここらへんの作品は、掲載誌がビッグコミックなんで、裏とか黒とかではなく単純に大人向け作品、社会派手塚なんじゃないかなと思います。火の鳥ですら人肉食でてくるし…。
その上で、僕と後輩のふたりともがベスト1と思ってるのはやっぱり『アラバスター』(の、ロック)ですね。あれ手塚先生本人は嫌ってるみたいですけど(あたりまえだ)。

さて奇子ですけど、まずこれの特徴といえばエロ描写ですが、手塚先生の絵ってあんまりエロくないんですよ(特に乳首と足首の描き方)。象徴の岩のシーンなんかは笑ってしまう。それもあって、火の鳥のチヒロとの(精神的な)セックスの方がよっぽどエロい。この路線、社会派エログロ手塚の完成形は晩年に近づいた頃の作品『アドルフに告ぐ』なんじゃないだろうか?と、ふと思わされました。
(下巻のレビューに続く)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2015年1月19日
読了日 : 2014年12月8日
本棚登録日 : 2014年12月6日

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