『ヴァイブレータ』に引き続いて廣木隆一監督&荒井晴彦脚本&寺島しのぶ主演の『やわらかい生活』。『ヴァイブレータ2』的なところもあるので、先に観といて良かったです。『ターミネーター2』みたいな語感ですね……T2じゃなくてV2。そりゃYOSHIKIと小室か。
面白いかどうかで言うと面白くないと感じる人もいるかもですが、『やわらかい生活』私は大好きです。『ヴァイブレータ』よりこっちの方が好き。
『ヴァイブレータ』は公開当時を感じさせる風景が少なかった。『やわらかい生活』は蒲田という実在の場所なので真逆です。映像も逆で、今回はフィルムの粒状感が強いし、長回しをしている。前作が動に対して今作は静の魅力。私はこの感じがすごく好きなので、退屈しなかった。
前作と共通しているのは、メンヘラの話な点。原作者の絲山秋子さんの私小説的で、実際に双極性障害だったとか。私が以前付き合っていた人もそうでした。当事者の方が見るとどう思うのか……ホラー映画と同じく共感して癒される場合もあれば、フラッシュバック的に嫌な思いをする場合もあるのかも。人それぞれか。この映画は基本的にラブコメだと思うので、メンヘラ描写はソフトだと思います。
以下気づいた点
・トヨエツと、チョイ役の柄本明の福岡弁が嘘くさくて面白い。しかし、トヨエツは大阪出身なのに大阪弁も嘘くさく聞こえる気が……たぶんセリフの言い方にクセがある。そこが好き。
・檀一雄の『檀流クッキング』ネタ!!最高。福岡に縁がある人だから。
・ブッキー演じるヤクザのセリフ、「モナコの皇太子がボートで…」は、正しくは「モナコの皇女の夫がボートで…」。知識が適当なところがリアルで良い。
・寺島しのぶさんのセリフの言い方、今回すごく好きでした。この点含めて映画の全体的な雰囲気が好きです。
絲山秋子さんの原作『イッツオンリートーク』をすごく読んでみたくなりました。私にとっては珍しいことです。女性の作家さんの小説をもっと読みたいのだけど、何を読めばいいのかわからないので……江國香織さんと川上弘美さんは一冊ずつ読んだけどあんまり……山田詠美さんは好きです。積読してるのは西加奈子さんと本谷ちゃん。
あと、タイトルの元ネタになってるキングクリムゾンの『エレファントトーク』が大好きなことも理由です。エイドリアンブリューとトーキングヘッズも好きなので。
絲山さんと荒井晴彦さんとで一悶着あったそうですが、荒井さんて『Wの悲劇』とか原作から大いに逸脱して改変してるので、比較してみたい。出崎統さんとかもこのタイプ。
原作つきの作品の場合、難しいところですね。私は原作から変えても映画が面白ければそれで良いと思っています。
ところで、私が廣木隆一作品をいま観てるのは、単純に観てなかったせいもありますが、実写版『ママレードボーイ』のレビューをきちんと書くためというのが一番大きな理由です(真顔で)。
- 感想投稿日 : 2021年1月22日
- 読了日 : 2021年1月21日
- 本棚登録日 : 2021年1月21日
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