ただなんとなく録画して観ただけだけど、すごーくよかったのでびっくりしました。褒めたい映画!
『ドントブリーズ』は予告を観たことあったぐらいで事前情報ほぼなしだったのですが、デトロイトの映画だったんですね。
ホラー映画…というのは正確じゃなくて、ホラーとサスペンスを内包してるので「スリラー映画」と言うのが正しいのかな。
『ロボコップ』『8 Mile』『グラントリノ』…と、デトロイトという土地柄、名作映画が多いと思う。スリラー映画というジャンルではなく、「デトロイト映画」っていうくくりで観た方が面白いし、全部観といた方が良いお薦め映画です。
話はそれますがこないだ『ブラタモリ』で、タモさんがフランス語のデトロワ「Detorit」(troit=狭い)を海峡って言ってたので、デトロイトという単語の意味に気づきました。さすがタモさんですね。
要するにデトロイト川のことが海峡、五大湖は湖だけど海と思うぐらい大きい。劇中で主人公の妹も「ミシガン湖に波がないのは不公平よ」って言ってましたね。
それとフランス語由来なのは、元々五大湖ってヌーヴェルフランスの領域にすっぽり入ってる、元々フランス領だった土地だから。っていう地理の話でした。
「失業率、貧困率が高く、犯罪都市としても有名」
「市の発表している統計では、子供の6割が貧困生活を強いられており、市民の半分が読み書きもできず、市内の住宅の1/3が廃墟か空き部屋となっており、市民の失業率は18%に達する。また、警官が通報を受けて現場に到着する平均時間は、人手不足のために58分かかる。」
という都市ですが、『ドントブリーズ』の序盤は社会派映画のような感じですね。主人公たち泥棒は貧困にあえぐ若者、対するおじいちゃんはイラク帰りの傷痍軍人と、社会の犠牲者対犠牲者、そして悪対悪という構図。
閉じ込められた家からどうやって脱出するか?という脱出ゲーム、ソリッドシチュエーションスリラーになりますが、生き延びるために「恐怖の館」から脱出するのと、「デトロイトという都市」から脱出するという行為が重なってくるんですね。
そう考えると、このおじいちゃんというのはアメリカの社会問題の象徴、深い闇から出てきた怨念や亡霊のように思えてきます(実際は人間ですが)。
盲目の人の家に強盗が…というのはオードリーヘップバーンの『暗くなるまで待って』やミアファローの『見えない恐怖』なんかの系譜。前者が加害者視点、後者が被害者視点なので今作は前者に近い。
スリラー映画としては僕が慣れてしまってるせいか、あんまり怖くなかった。恐怖要素も色々あるけど、「バァン!」みたいなびっくり要素がほとんどだったと思う。だからホラー映画とかあまり観てない人の方が楽しめそう。どちらかというと胸糞映画で、スポイトのくだりとか大好きでした。
映像も良かったです。途中でモノクロっぽい表現になったりして、全体的にカッコよい。
リメイク版『死霊のはらわた』の監督&女優で引き続きやってるけど、前作がライミ版とは全く方向性違ってそんなに面白く感じなかったのに対して、今作はちゃんと面白く仕上がってたので良かったですね。
スタチャンの軽い町山解説によると、財政破綻&ゴーストタウン化したデトロイトは映画のロケがしやすく、財源のひとつになってるらしい。だけど調べたら、この映画はデトロイトロケは少なく、大半はハンガリーで撮影してるらしい。なんじゃそら笑。
- 感想投稿日 : 2018年7月18日
- 読了日 : 2018年7月17日
- 本棚登録日 : 2018年7月17日
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