現代日本の気分

著者 :
  • みすず書房 (2011年7月23日発売)
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本棚登録 : 17
感想 : 2
3

2022/10/21
導入部分を読んで手に取って見たが大半は新聞でのエッセイをまとめたもの。
話題もかなり多岐にわたっているが、幾度となく頷いてしまった。
かなり痛烈な歴史・社会批判もあるが、それは決して机上でのお気楽・無責任な議論ではなく、現地に足を運び、当事者と接して会話したりという土台の上でなされているので説得力がある。
その中で一番印象深かったのは東南アジアの少年少女たちの眼がみな輝いており、それは一緒にいる先生たちも同じだというところ。
学校は勉強を教えてくれるところではあるが、自分自身の記憶でも印象に残っている先生、好きだった先生は授業内容やその判りやすさとはあまり関係がなかった気がする。
授業とは直接関連していなくとも、いろんな興味を持たせてくれたり、考え方やものの見方を教えてくれたり、自分で考えることの大切さを教えてくれたり…それは教科書には決して書いてない先生自身の魅力だった思う。
今は果たしてどうなのだろうか。
勉強や試験ができて、いわゆる優秀とされていても愚かな人間は社会に溢れている。
どんなに無責任で非常識な行為をしても、法には触れていない、責任はないと開き直る醜悪な政治家や役人もいやというほど存在する。
そして未来ある子供たちを守るべき教育現場や教育委員会では子供の命を犠牲にしても自分だけを守る教育者??が多数いる。
彼らはテストの成績は良かったのかもしれない。
でも教育者への制約・締め付けが多い状態で、勉強以外ではきちんとした教育を受けられなかったのではないか…そしてその教育の犠牲者が更なる犠牲者を生む悪循環…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2022年10月21日
読了日 : 2022年10月21日
本棚登録日 : 2022年10月21日

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